WebSphere Extended Deploymentの新バージョン提供開始

IBM、アプリケーションサーバ仮想化ソフト強化

2007/06/06

 日本IBMは6月6日、アプリケーションサーバを効率的に管理・運用するための基盤ミドルウェアの最新バージョン「WebSphere Extended Deployment V6.1」(以下、XD)を発表、即日出荷を開始した。価格は1年間のサポートを含み、100VU(Value Unit:プロセッサコアの種類ごとにIBMが定めた値にコア数をかけたもの)当たり221万7000円から。今回から、ニーズの多様化を反映して機能別に3つのモジュールに分けられ、各モジュールは個別購入も可能となった。また、これまで自社のWebSphere Application Serverのみに対応していたが、新バージョンでは「BEA WebLogic Server」や「JBoss」、「Tomcat」など自社製品以外のアプリケーションサーバにも対応した。

 XDはアプリケーションサーバの手前に配置するミドルウェアで、3つのモジュールからなる。

websphere01.jpg WebSphere事業部 WebSphereマーケティング・マネージャー 渡辺 隆氏

 「オペレーションズ・オプティマイゼーション」は、多数のアプリケーションサーバが運用されている環境で仮想化によるロードバランスや高可用性、QoSの向上を実現する。具体的には複数のアプリケーションサーバ群を、1つのリソースプールとして管理し、負荷や、あらかじめアプリケーションやユーザーごとに設定したサービスレベルポリシー(平均応答時間など)に応じて動的にアプリケーションサーバを割り当てる。既存のアプリケーションサーバ群に対して適用することで「理論値では40%程度の運用コスト削減が可能」(WebSphere事業部 WebSphereマーケティング・マネージャー 渡辺 隆氏)で、100台のアプリケーションサーバに37個のアプリケーションという環境の米国の生命保険会社の実績では、運用コストを25%削減したという。

 「データグリッド」は分散データ・キャッシングにより、システムの応答性を上げるソリューション。大規模システムの構築でJavaを使う例が、特に米国を中心に増えているが、大量のトランザクションによる高負荷時にデータベースアクセスでボトルネックが発生するという課題が顕在化している。データグリッドは、グリッド中にアクセスの集中するデータをキャッシュすることで、データベースアクセスを減らし、ボトルネックを解消する。国内ではまだ導入例は多くないが、「金融や通信関連の事業者からの引き合いがある」(渡辺氏)という。

 「コンピュータグリッド」はアプリケーションサーバ群でバッチ処理を行うソリューション。シミュレーションや数値分析、データ・マイニングといった、これまでメインフレームで行ってきたような計算集約型のジョブを、分散アプリケーションサーバで代替するもの。Java以外にも、CやC++、スクリプト言語にも対応する。メインフレーム技術者の大量退職、バッチ処理のオンライン業務との連携強化ニーズなどを背景に提案を進めていくという。

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(@IT 西村賢)

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