NIIがオープンラボで研究成果を発表
ウイルスチェックを専用ハードウェアで
2007/06/07
ウイルスチェック、スパム除去、URLフィルタ――。これらに共通するものは? 答えは「パターンマッチング」。文字列やデータストリームから特定のパターンを検索するという技術が使われている。これまでパターンマッチングの世界では、さまざまな高速化アルゴリズムが研究されてきたが、実行はすべてソフトウェアで行ってきた。汎用プロセッサの速度が年々向上してきたこともあり、こうしたアプローチで十分だった。
しかし、昨今ではスパムメールやマルウェアなど、ネット上の“ノイズ”が増えすぎたため、これらを判別するためのコストが飛躍的に上がっている。そこでパターンマッチングをハードウェア処理で高速化してしまおうという研究が登場しつつある。
6月7、8日の2日間、国立情報学研究所が一般向けに入場無料で研究成果発表を行う「オープンハウス」で展示されている「セキュリティパターンマッチングアクセラレータ」は、そんな研究の1つだ。国立情報学研究所 アーキテクチャ 科学研究系の米田友洋教授が率いる研究チームは、ハードウェアを用いた「セキュリティパターンマッチングアクセラレータ」の研究開発を行っている。現在、PCIボード上にFPGAで試験実装したハードウェアを用いて、非同期パイプラインで並列処理を実現。16本のデータフローに対応でき、約2Gbpsのスループットを達成しているという。
利用するアルゴリズムは、1つの文字列に対して複数文字列のマッチング処理が可能な“Aho-Corasick”と呼ばれるもの。アルゴリズム自体は新しいものではないが、ハードウェアで実装したことと、検索パターンをハードワイヤーするのではなく書き換え可能とした点が新しい。
現在、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の助成金を受けつつベンチャー企業のノディックと、実用化に向けて製品仕様などを検討している段階だという。ネットワークアプライアンスやサーバ向けソリューションのほか、ローカルPCへの用途も検討しているという。米田教授によれば、ウイルスチェック以外にも、パターンマッチを行うフィルタリング系の処理や、XMLのパーサなどにも、この技術は適用できるという。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|