インタビュー:HP ProCurve担当CTO

スイッチへのアプリケーション統合も進める、HP

2007/06/19

 調査会社、Dell'Oro Groupの2006年11月のレポートによれば、高成長の続くイーサネットスイッチ市場における2006年第3四半期のメーカー別シェアは、1位がシスコ、2位がヒューレット・パッカード(HP)、3位がノーテルなどとなっている(参考リンク)。シェア変動も激しい同市場で、2000年ごろからプレゼンスを増しているのがHPのProCurveシリーズだ。ProCurve Networking担当のCTO、ポール・コンドン(Paul Congdon)氏に、今後の事業展開と技術展望について話を聞いた。

pcn01.jpg 米ヒューレット・パッカードCTO ポール・コンドン氏

――シスコに次ぐ2位の位置にまでシェアを拡大した勝因をどう分析されていますか。

コンドン氏 われわれのビジネスで最も重要なことは、事業が安定しているいうことです。戦略や製品が一貫していることをお客様に認識していただいていることでシェアが拡大しているのだと考えています。ネットワーク技術者のコミュニティはある意味では狭い世界ですので、口コミで評判が伝わりやすいので、われわれの製品を使った成功例の話が伝わっていることも大きいと思います。

 別の要因としては、IT投資に対する企業の投資効果評価の目がシビアになっているという環境の変化も大きいと思います。ITバブルの2000年頃とは違って、ネットワークのどの部分に投資すべきかということに関して、顧客は注意深くなっています。

 われわれの製品は、単に価格が安いということではなく、正しい機能を、正しいタイミングで提供してきたということが評価されていると考えています。ネットワーク製品では機能が多すぎて複雑なものがあります。すべての機能を入れるのではなく、必要とされている機能だけを選んで、使いやすい形で、適正な価格で提供することが大切です。シェア拡大の最大の要因は、こうしたわれわれの姿勢や製品を信頼していただけていることと認識しています。

――HP全体から見てProCurveの事業の独立性は?

コンドン氏 HPは大規模向けITソリューションを提供していますが、HPのシステムだからProCurve製品を使わなければいけないという制限はありませんし、そうした選ばれ方は良くないと思っています。ProCurveはHPの中で独自性を保っており、われわれの特徴やプレゼンスといったものを持っています。一方、今後さまざまな技術がネットワークに統合されることになるでしょうから、そうしたときにHPのほかの技術部隊と一緒に研究・開発できることは、われわれの強みでもあります。

――4月にUTMベンダのフォーティネットと提携しました。ProCurveシリーズのセキュリティ機能との棲み分けは?

コンドン氏 両者の最大の違いは、ネットワークのどの範囲を、どのように守るかです。フォーティネットやソニックウォールなどのUTM製品は、通常はWAN側との接点に置かれ、外部からの脅威を守ります。これに対してProCurveは、守備範囲をLAN全体に拡張し、ネットワーク全体を守っています。ですから、この2つは互いに補完的に関係にあります。

――やはり4月にProCurveシリーズに検疫アプライアンスとクライアントソフトが加わることを発表し、ネットワーク機器へのセキュリティ機能の統合がますます進んでいます(参考記事)。一方、WAN高速化やロードバランスといった機能もネットワークアプライアンス製品として一般化しています。今後、こうした機能はすべて統合されていくのでしょうか?

コンドン氏 ネットワークとセキュリティ、ネットワークとストレージ、ネットワークとテレフォニーといったように、これまでにも異なった市場が収束していくことがありましたが、今後は「アプリケーションとネットワークの統合」にも対処していかないといけないと考えています。

 主な利用シーンはデータセンターになると思いますが、アプリケーション統合が進むとすれば、仮想化やプロビジョニングに対する統合ニーズも出てくるでしょう。こうした各分野でキーパートナーが見つかるのであれば、統合を進め、一緒にやっていきたいと思っています。

(@IT 西村賢)

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