インタビュー:米サン・マイクロシステムズ リチャード・グリーン氏

OpenSolarisのGPLv3下での配布も検討中、サン副社長

2007/06/26

 5月にサンフランシスコで開催された開発者向けイベント「2007 JavaOne」でサン・マイクロシステムズは、スクリプト言語の「JavaFX Script」を発表したり、Java開発環境をGPLv2のオープンソースソフトウェアとして公開するなどソフトウェア関連で大きな動きを見せている。その後のマーケットからの反応について、サンでソフトウェア部門を統括するリチャード・グリーン(Richard Green)副社長に話を聞いた。

――Java開発環境をOpenJDKコミュニティに提供して約1カ月が経ちました。その後のマーケットからの反応は?

rich01.jpg 米サン・マイクロシステムズ 副社長 リチャード・グリーン氏

グリーン氏 発表以来、JDKを含めてJava SEのダウンロード数は増えています。エンタープライズ用途でのJava利用について、技術サポートについての問い合わせも増加しています。今後はサン以外のプラットフォーム上で走るJava環境についても、より積極的にサポートしていく必要があると考えています。

 インテルプラットフォームに関していえば、1月に発表した提携により、過去3カ月でインテルベースのSolarisでJava実行環境のパフォーマンスが20%改善したという事実があります。この調子でいけば、年末までに最速のJavaの実行環境になるでしょう。

 また、すでに発表済みのことですが、Javaの統合開発環境であるNetBeansがLinuxディストリビューションのUbuntuに取り込まれるなど、完全GPL化による影響はいろいろと出てきています。

――ディストリビューションといえば、サンは最近「プロジェクト・インディアナ」をアナウンスしました。詳細を教えていただけませんか。

グリーン氏 これまでサンはOpenSolarisを使ったx86向けのバイナリパッケージとして「Solaris Express Developer Edition」を提供していますが、プロジェクト・インディアナはそれとは別に、OpenSolarisにGNUのツール群を統合し、Linuxのディストリビューションのようなバイナリパッケージを提供するというものです。今秋のリリースを予定しています。

――OpenSolarisのCDDLとGPLはライセンス上、相容れないということはないのですか?

グリーン氏 それはありませんが、OpenSolarisのライセンスの選択肢としてGPLv3を加えることも検討中です。現在、社内で慎重に議論しているところです。

――モバイル端末向けのJavaソフトウェアスタック「Java FX Mobile」の現状について教えてください。Java FX Mobileの元になったSavaJe Technologiesを買収してから変化は?

グリーン氏 買収以降に機能強化を進めていますし、詳細は明かせませんが、北米のみならずアジアやヨーロッパの携帯電話メーカーと協議を進めています。日本のメーカーともお話をさせていただいています。

 買収以前のSavaJeチームは、それまで通り顧客サポートを続けていますが、製品が小さな会社からサンのような大きな会社に移ったことで顧客としては「保険」を得られたようなところがあり、歓迎されています。今後、モバイル端末はますます高機能になり、OSのサポートが必須となります。現在、Symbian OS、Windows Mobile、それにLinux+Javaという3つのプラットフォームがありますが、こうした複雑なOSをサポートできるのは、世界でも何社もありません。Java FX MobileはOSからJava SEの環境、UIをスクリプトで扱えるJava FXまでを含めた完全なプロトコルスタックですが、こうしたソフトウェアをサポートするときに、SolarisやJavaを長年手がけてきた弊社は信頼できるパートナーとなるでしょう。

 中長期的視点の話になりますが、今後は端末を作るメーカーと、ソフトウェアプラットフォームを提供するメーカーに分離していくのではないでしょうか。そうしたとき、自社で端末を出したり、ネットワークサービスを提供していないわれわれは、中立性という意味で有利なポジションにあると思います。

(@IT 西村賢)

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