基盤構築でパートナー企業に呼びかけ
KDDIとMS、企業向けSaaS推進で包括提携
2007/06/27
KDDIとマイクロソフトは6月27日、Windowsプラットフォームをベースとした企業向けSaaS型ビジネスの推進で包括的に提携すると発表した。統一ブランドのもとにビジネス展開していく。今後、KDDIは自社の携帯電話端末向けでメールやスケジューラをはじめとするコミュニケーションサービスを提供するとともに、両社と協業するアプリケーションパートナー各社を通して、ERP、人事・給与、CAD、営業支援、販売在庫管理、eラーニングなど法人向けのアプリケーションをSaaSとして提供していく環境を整える。
SaaSの共通基盤として「Microsoft Connected Services Framework」(CSF)を利用する。CSFはマイクロソフトが2006年に発表したSOAとWebサービスを基盤に設計された、キャリア向けのソフトウェア製品。セッション管理、ID管理、サービスカタログ、リソース管理、サービスロジック/オーケストレーションなどを行うことで、サービスの編成、統合、提供、課金が可能。KDDI 取締役執行役員常務 ソリューション事業統括本部長の田中孝司氏は、「今後は、サービスとしてソフトウェアを買い、月額モデルで利用するという形態が広がる。SaaSとASPの違いは、SaaSではさまざまなサービスをマッシュアップして使えること」と話し、マイクロソフトのCSFがその基盤を提供するとした。CSFはこれまでブリティッシュテレコム、AT&Tなど通信事業者30社で採用された実績があるという。
今回の包括提携に基づき、2008年3月からKDDIは「Microsoft Solution for Hosted Messaging and Collaboration」を用いて、メールやスケジュール管理といったコミュニケーションサービスを提供する。同サービスでは、これまで携帯電話で使えたezweb.ne.jpというアドレス以外に、会社のドメイン名を使ったアドレスも使えるようになる。
マイクロソフトのSaaS向け基盤利用、KDDIによるメッセージサービスの提供に加え、今回の提携の主眼は、業務パッケージソフトウェアを提供するISVやSI業者、販売パートナーを巻き込み、中小企業向けITソフトウェア市場をSaaS型サービスに移行させることにある。マイクロソフト 代表執行役兼COOの樋口泰行氏は、「従来のパッケージソフトウェアは自社のノウハウを投入できるほか、高速でレスポンスもいいというメリットがある。その反面、自分で資産を持たなければないことや人材が不足していることから、中小企業では高度なITアプリーションが利用できないという実態があった」とし、SaaS型サービスの多様化と普及により「日本全体の競争力の強化に貢献できると考えている」と話す。前出の田中氏も、「中小を中心にアプリケーション、コミュニケーションツールの大半はSaaSに移行するのではないか。SaaSに関してわれわれはパイオニア。最初にビジネスをやり始めたものがマジョリティを取ると思っている。SaaS市場を立ち上げるとともに過半数のシェアを取る」と意気込みを語った。
このパートナー支援のための「SaaS Support Program(仮称)」の正式発表は10月を予定。課金徴収をKDDIが行うか、パートナーが行うかや、具体的なアプリケーションについてのアナウンスはないが、発表日現在、大塚商会、OBC、京セラコミュニケーションシステム、PCA、リコーテクノシステムズ、ソフトブレイン、CECなどが両社の提携に賛同するコメントを寄せている。「10月の正式発表時には、プログラムに参加するパートナーの数が増えていることを期待している」(田中氏)。
利用するクライアントは「Webブラウザベースで提供するのでOSのバージョンについては、あまり関係ない」(田中氏)。また、モバイル環境で新たなスマートフォンの提供の可能性については、「しかるべき時期に発表する」と明言を控えた。
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