2008年度は日本のパッケージソフトウェア市場を創出したい
Fusionのリリースは2008年4月か5月、新規ユーザーメインに販売
2007/07/10
日本オラクルは7月10日、報道関係者向けの説明会を開催し、同社の2008年度におけるアプリケーションビジネス戦略や異なるアプリケーション製品を統合する基盤「アプリケーション統合アーキテクチャ」(AIA)について説明した。

説明を行った米オラクル 日本アプリケーションビジネス担当 シニア・バイスプレジデント ディック・ウォルベン(Dick Wolven)氏は、まず日本オラクルの2007年度(2006年6月〜2007年5月)におけるアプリケーションビジネスの成果を説明。同氏は、2007年度を「変革の年だった」と評価。ERPを中心に据え、レガシーシステムを囲む形でさまざまなアプリケーションを提供してきたとした。また、顧客指向を強め、日本のユーザーニーズを少しでも多く把握し、取り入れることを心掛けたという。
2007年の日本における実績は、ライセンス売り上げが60%増、案件規模も250%増加した。サプライチェーンも100%伸びて2倍の規模になったという。ウォルベン氏は「特にアピールしたいのは、当社内で“メガディール”と呼んでいる300万ドル規模の案件提案が、すべて成約できたことだ。この点は非常に評価できる点だろう」と語り、自信を見せた。
また、ここ1年間で買収した10社に言及。「ピープルソフト買収時には、当社製品との統合に約3年かかっていた。しかし、ハイペリオンは買収が終了したのが4月だったので、それから2カ月半後の7月1日にはすでにオフィスを統合して働いている。このように、M&Aの過程なども改善している」(ウォルベン氏)と説明した。
2008年における同社のビジネス戦略については、「日本におけるパッケージソフトウェアの市場を創出」と「多くのビジネスチャンスを創出し、オラクルへの需要を促進する」の2点を打ち出した。1点目のパッケージソフトウェア市場創出については、日本のERPのライセンス売上高がITサービス市場の合計14兆5660億円と比較すると0.6%に過ぎず、ERP関連の売り上げの多くがカスタムビルドによるものだと分析。ウォルベン氏は、「つまり、現在の日本ではカスタムビルドへの投資額が多いためパッケージソフトへの投資が少なく、市場がないといえる。そこで当社がこの市場を作る」と説明した。
2点目のビジネスチャンス創出については、システムインテグレータとの関係を強化したり、自らがエンドユーザーへ出向いてオラクル製品を詳しく説明することにより、M&A戦略によって製品の幅を広げワンストップでソリューションを展開できるメリットをユーザーに理解してもらうとした。
また、オラクルは、異なるアプリケーション製品を統合する基盤として「アプリケーション統合アーキテクチャ」(AIA)を発表した。AIAは、SOAに基づいて業務プロセスを統合するソフトウェア「プロセス統合パック」と、業界特有のビジネスプロセスを図式化した参照モデル「業種別リファレンスパック」で構成される。プロセス統合パックでは、標準のビジネスプロセス実行言語(BPEL)を用いて定義したビジネスプロセスや、パッケージアプリケーション固有のデータ表現を変換するサービスなどを提供する。
2008年度における顧客満足度向上に向けた具体的な取り組みとしては、ユーザーがバージョンアップを検討する際に、バージョンアップにおける影響などを検証したり、手助けしたりする「Japan Upgrade Management Office」を開設するほか、Oracle Consulting Serviceの拡大、主要パートナーの拡充などが挙げられた。
ウォルベン氏は2008年度にリリース予定のOracle Fusionについて、「Fusionの最初のバージョンは2008年の4月か5月ころだろう。従って、当社の2008年5月に終了する2008年度の売り上げへの貢献は少ないと考えている。また、既存のユーザーに対しては、まず既存製品のバージョンアップを経て、十分な準備をしてからFusionへの移行を推奨している。従って、当面は新規ユーザーやレガシーからオープンシステムへ移行するユーザーにFusionの導入を推進し、既存ユーザーに対しては十分な準備期間を経た3〜5年後にFusionへの移行を推奨する予定だ」とコメントした。
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