ミッドレンジサーバのハイエンド機種にPOWER6を搭載
日本IBM、新System iでオープンソースニーズも取り込む
2007/07/25
日本IBMは7月25日、同社のミッドレンジサーバSystem iシリーズで、最新プロセッサのPOWER6を搭載したハイエンド機種「IBM System i 570」を9月14日に出荷開始すると発表した。価格は最小構成で6227万円(税込)から。
System i 570はPOWER6の採用により、POWER5搭載モデルと比較して約2倍のパフォーマンス、1.7倍のエネルギー効率を実現。日本IBMでは、最新プロセッサのもたらすパワーとTCO低減効果を、System iの統合性や柔軟性、既存資産の継承性といった従来からの特徴と組み合わせることで、新しい市場の開拓を狙う。
AS/400の世界を引き継ぐSystem iは、大企業から中堅・中小企業まで、あらゆる規模の企業に、基幹的なシステムのプラットフォームとして使われてきた。新製品も、i5/OSの併用により標準搭載のデータベースやミドルウェアで包括的なアプリケーション環境を提供できることが、UNIXサーバやx86サーバとの最大の違いという。
System i事業における今年のテーマは新規顧客の開拓。ハイエンド機種であるSystem i 570では、基幹システム資産を継承しながら、汎用機やその周辺のサーバ群を置き換えていくことに焦点を当て、販売活動を進める。
日本IBMではまた、i5/OSの次期バージョンである「i5/OS Version 6」を2008年に発売する予定だと発表した。
新バージョンではデータベースからディスクドライブ、バックアップテープまで、データ処理過程全般に暗号化を適用できるようになる。仮想化機能では、複数の論理区画が単一のディスク区画を共用し、自区画に割り当てられたディスク容量が不足する場合には、別の区画から借りられるようになる。SANの利用ではパケット処理をオフロードする新たなファイバーチャネル・アダプタとドライバを提供し、パフォーマンスを改善する。また、新たな「IBM System Director」では、System iに加え「System p」「BladeCenter」の統合管理を実現する。
System iでは新規顧客や新規ニーズの獲得のため、オープンソースの各種ツールへの対応を進めている。例えば同社はPHPのi5/OS版を提供しているが、さらに8月17日にはMySQLのi5/OS版「MySQL Enterprise Server for i5/OS」を提供開始する。
米IBMのパワーシステムズ i5/OS&システムiプロダクトオファリング担当マネージャー イアン・ジャーマン(Ian Jarman)氏は「特に日本市場ではPHPが重要。このことから、PHPとの組み合わせで良く使われるMySQLを、i5/OS上で動作できるようにしたことは意味がある」と話した。COBOLやRPGによるアプリケーションにPHPを使うことで、既存資産の有効活用もできると同氏は続けた。
将来はMySQLをi5/OS上で動かすだけでなく、DB2との統合も実現する。ジャーマン氏によると「MySQLのデータを書き込むとDB2に格納されるようなイメージ」。これにより、MySQLの使い勝手の良さを取り込みながら、DB2用のツールや管理機能を生かせるようにするという。
また、同社では新たなビジネスインテリジェンス(BI)ツール「IBM DB2 Web Query for System i」を11月16日に提供開始する。これは従来の「Query for iSeries」に米Information Buildersの「WebFocus」の機能を組み込んだもの。Webブラウザでレポートが閲覧できるほか、有償オプションでOLAP機能を利用できるようにしている。
日本IBMはSystem iの拡販のために、他社サーバ利用企業における置き換え案件を発掘する専門のテレセールス部隊を組織し、一定の成功を収めている。ビジネスパートナーやISVに対しては、セミナー開催のための資金援助などの支援プログラムを提供中。同社システム製品事業 システムi事業部長 皆木宏介氏は、「今後各業界に特化したソリューション成功事例を、ほかの顧客に広げる活動をしていきたい」と抱負を語った。
関連リンク
情報をお寄せください:
最新記事
|
|