「エンジニア魂が作った」
HDDもまとめて冷却する第4世代の水冷システム
2007/07/30
日本電気(NEC)とNECパーソナルプロダクツ、日立製作所は7月30日、CPUとハードディスク(HDD)をまとめて冷却する新たな水冷システムを共同開発したと発表した。まずは、2007年の秋冬商戦向けに投入するNECのデスクトップPCに搭載される予定だ。
日立では2002年に、世界初の水冷ノートPCを発表。それ以来水冷システムの開発を続けてきた。しかし、最近では水冷システムに対する顧客ニーズの変化が見られるという。
「従来は、ハイエンドホームサーバ的なマシンをリビングなどに設置するために静音化が求められていた。こうした顧客はあくまでPCをPCとして認識してきた。だが今後は、地デジ搭載などにより、PCがいろいろな使われ方をするようになり、PC機能付きのテレビというとらえ方もされるだろう。そうなるとAV機器以上の静音性を実現しなければならない」(NECパーソナルプロダクツのPC事業本部開発生産事業部統括マネージャ 小野寺忠司氏)
両社が「第4世代」と称する新水冷システムでは、CPUに加えHDDも水冷方式で冷却するほか、低回転タイプのラジエータファンや低騒音タイプのマイクロポンプなどを採用。この結果、システム全体が発する騒音を抑え、「DVDレコーダーなどのAV機器並み」(小野寺氏)という25デシベル程度にまで静音化を実現した。
CPU水冷ジャケットでは、熱を冷却水に伝えるマイクロチャネル(流路)の溝幅を0.09ミリメートルにまで狭めた。さらに、ピンポイントでCPUを冷却するような流路設計を採用し、CPU水冷ジャケットでの受熱効率を2倍以上に向上させたという。
一方HDDについては、騒音や、がたつきを抑えるために、全体を吸音材と遮音ボックスで包んだ。これに伴い発生する熱を逃がすため、HDD水冷ジャケットをボックスと一体化し、冷却機能と静音性とを両立させたという。
今後は、デスクトップPCだけでなく、高性能ノートPCやサーバ、非PCなどへの適用を進めるほか、マルチヒートソース冷却に向けた取り組みを進める。将来的には、マルチCPUへの対応や高性能CPUに対する水冷システムの適用も検討しているという。
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