2010年に「情報インフラストラクチャ市場」で1位目指す
「日本企業になりたい」、富士通出身のEMC ジャパン新社長
2007/08/01
7月1日付けでEMC ジャパンの代表取締役社長に就任した諸星俊男氏の最も重要な使命は、日本市場における顧客企業およびパートナー企業とのパイプ固めである。前職は富士通の経営執行役。外資系企業のイメージを一新し、日本市場に深く根を下ろした企業への生まれ変わりを目指す。
「就任から1カ月で名刺を2箱分使い果たした」。1箱にはおよそ200枚の名刺が収められている。EMCジャパンのトップとしての最初の1カ月間は、顧客企業とパートナー企業への挨拶(あいさつ)回りに費やした。
外資系企業が日本市場で成功するには、製品・サービスの流通網をいかに堅ろうに構築するかにかかっている。製品の日本語化を行い、顧客に販売するだけではなく、サービスも含めて「日本化」をすることが重要だと諸星氏は言い、EMC ジャパンの「日本企業化」への変身に意欲を燃やす。
そのためには、社内体制の刷新を図る必要がある。「コーポレート(米国本社)の戦略を日本市場でどのように実行していくか。そのための社内体制を改めて検討していく。また社員個人個人の能力を効果的に生かす仕組みも考える必要がある」(諸星氏)。
2003年から2006年にかけて、EMCは企業買収を繰り返してきた。それは、同社の「情報インフラストラクチャ戦略」を展開していくうえで、必要な技術を効率的に手に入れるための手段であった。同社は情報インフラストラクチャという概念を「活用」「最適化」「保護」「保存」といういくつかのアクションに分割して構想している。このうち、同社の本来の事業は、データの「保存」というアクションに属するものだった。「活用」〜「保護」までの技術を買収によって手中に収めたわけである。例えば「活用」の分野にはDocumentum、「最適化」ではLEGATO、「保護」ではAvamarなどといった具合。
買収によって拡大した製品ラインアップを市場に展開していくのが2007年度以降のEMC ジャパンの課題となる。そのためにも、エンドユーザーへの販売チャネルを持つパートナー企業との協業は欠かせない。パートナー施策では、すでに日本電気や伊藤忠テクノソリューションズとアライアンス・パートナー契約を結んでいる。また、ネットワーク系システム・インテグレータ数社との提携も実現した。今後は、買収した企業の技術(Smarts、Avamarの技術など)を活用した新規事業の展開をパートナー企業と共に練り上げていく。
ストレージベンダとしてEMCには長くハードウェアのハコ売りというイメージが付きまとっていた。しかし、同社の2006年度決算(ワールドワイド)によると、売り上げに占めるハードウェアの比率は43%である(ソフトウェアは41%、保守・サポートが16%)。年々ハードウェアの比率は減少し、ソフトウェア、保守・サポート事業の比率が上昇している。
日本市場でもハコ売り主体の事業展開からのシフトが求められていると諸星氏は言う。重要なポイントは、コンサルティングが行えるような人材の確保。「コンサルティングを単体で販売できるよう社内の意識改革を行うことも重要な課題」だ(諸星氏)。
日本法人の発言力を強めるためにも、日本法人の代表取締役に就任すると同時に、本社 副社長も兼務することになった。「2010年には情報インフラストラクチャ市場でトップシェアを獲得したい」と目標を掲げる。
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