日中韓にベトナムが加わり4カ国で共同開発
アジア発Linux、「Asianux Server 3」発売へ
2007/08/02
ミラクル・リナックスは8月2日、都内で会見を開き、同社の最新版Linuxディストリビューション「Asianux Server 3」(以下、Asianux 3)について説明した。Asianuxは、2003年12月に中国のレッドフラグとミラクル・リナックスが共同で開発を始めたプロジェクトの成果物で、2004年8月に最初のバージョン「Asianux 1.0」が登場。2004年10月には韓国のハーンソフトが参加し、これまで日中韓による共同開発を行ってきた。ミラクル・リナックスでは、これまで同社のディストリビューション名である「MIRACLE LINUX」の後ろに「Asianux Inside」とブランドを付け加える命名で製品をバージョンアップして来た。韓国ハーンソフトで「Hansoft Linux」、中国のレッドフラグでも「Red Flag Linux」など、それぞれ固有のブランド名を使ってきたが、7月27日に北京で発表された今バージョンから、3社が製品ブランドを「Asianux」に統一した。
会見で挨拶した代表取締役社長の佐藤武氏は「Asianuxをひとことで言えば、“Better Than Red Hat”。機能、品質、サポート、価格の4つの軸でレッドハットより良いものを目指した」と同社の位置付けを説明。「7月27日のAsianux 3の発表時には、ベトナムの科学技術省がAsianuxに参加することも併せて発表した。カバレッジを広げてAsianuxをアジアでの標準Linuxにしていきたい」と話した。Asianuxは中国においては、すでにLinuxサーバのシェアで1位(37%)の座を獲得。韓国でも官公庁で9割を超えるシェアとなるなど、売り上げは堅調に推移しているという。
Red Hatを強く意識した価格体系
Asianux 3は9月18日に3カ国同時発売を予定。日本ではIA-32版とx86-64版をリリースする。価格は1サーバ、2CPUソケットまで使える「ベーシックパック」が3万1500円(税込み)。1サーバ、CPUソケット数無制限、インストールイメージ無制限の「スタンダードパック」が9万9540円(税込み)。競合するRed Hat Enterprise Linuxではベーシックパックに相当する製品がなく、ソケット数に制限がないものでは20万4750円であるなど「価格体系はレッドハットを意識した」(佐藤氏)。
機能面では、より最新のカーネル2.6.18を採用することで、大容量メモリのサポートや、マルチコア環境でのパフォーマンスが改善されているという。また「はしご高」や丸付き数字など、Windowsでは扱えるがLinuxやUnixで扱いづらかった文字についてもPHPやPerlで対応した。一般的なディストリビューションでは導入が面倒なOracle製品について、「あらかじめカーネルパラメータを設定したほか、補助ツールを搭載したことで、120ページあるインストールマニュアルを端から端まで読む必要はない」(取締役兼最高技術責任者 吉岡弘隆氏)という。
ミラクル・リナックスは2000年からディストリビューション事業を始め、「7年間保守をしてきてカーネルハッカーが育っている」(吉岡氏)。カーネルダンプ解析のノウハウ蓄積が多いことも、同社の強みだという。カーネルダンプ解析ツール「kdump」を標準搭載し、サポートメニューにソースコード解析、カーネルダンプ解析を行う「プラチナサポート」(30時間で304万5000円、または1インシデント1ノード限りで63万円)を用意した。吉岡氏は、「これまでミッションクリティカル分野の利用ケースで、数社以上にダンプ解析のサポートを提供した実績がある」と高度なサポートをメニュー化した背景を説明した。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|