既存製品と比べても最大10倍高速化
「Webアクセラレータが抱える2つの課題」を最新版で解決、F5ネットワークス
2007/08/02
LAN内では軽快に動くWebアプリケーションが、東京-大阪間のようにWANを介するととたんに反応が遅くなり、ユーザーにストレスを与えるケースは珍しくない。そこで登場してきたテクノロジーがキャッシュや圧縮であり、WAN高速化製品だ。
しかし、F5ネットワークスジャパン(F5)のシニアプロダクトマーケティングマネージャ、武堂貴宏氏は、こうした既存のテクノロジーには2つの課題があると指摘する。
「現在のWebアクセラレータの大半は、PC側のローカルキャッシュを利用する。この方式では二度目以降はともかく、最初のアクセス時はコンテンツを取りに行かなければならないため、どうしても遅くなってしまう。もう1つはSSLが遅いことだ。今ではSSLで暗号化しなければ外に出すことのできないコンテンツも多いが、SSLは圧縮などによるアクセラレーションが困難だ」(同氏)
F5ではこうした課題を踏まえ、「BIG-IP」上で動作するWebアクセラレータの新バージョン「BIG-IP WebAccelerator 9.4.2」(WebAccelerator)をリリースした。何も高速化を行わない場合に比べ約3〜20倍、既存の高速化技術と比べても2倍から最大で10倍の高速化が可能という。
これまでのWebAcceleratorはデータセンター/Webサーバとユーザー/Webブラウザの間で、キャッシュやダイナミックコンテンツの最適化といったテクノロジを組み合わせて高速化を実現していた。これに対し新バージョンでは、非対向型による従来どおりの利用法に加え、WAN高速化製品と同様の対向型の配置も取れるようになっている。
WebAcceleratorを対向型に配置すれば、ユーザーはWANの向こうにあるデータセンターの代わりに、ローカルサイトのWebAcceleratorにアクセスすることになる。このため、特に多くのユーザーを抱える拠点において、初回アクセス時のパフォーマンス問題を改善できる。また、SSL暗号化通信についてもWebAccelerator間で「平文と同じ感覚で」(武堂氏)高速なアクセラレーションを実現するという。
F5はこの製品を、自社版CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)を実現するツールとしても展開していく計画だ。トラフィック管理製品の「BIG-IP Traffic Manager」のほか、独自APIの「iControl」や「iRules」と組み合わせることにより、グローバルにトラフィックの分散や最適化、高速化を行えるという。
なお、同社のもう1つのWAN高速化製品「WANJet」が、ファイル共有やメールといったアプリケーションの高速化に特化するのに対し、WebAcceleratorはポータルサイトやCRMといったダイナミックなWebアプリケーションの高速化に特化している。
BIG-IP WebAccelerator 9.4.2の価格は300万円。Web高速化に特化したアプライアンス「BIG-IP WebAcceleratorスタンドアロンモデル 4500」も同時にリリースされ、価格は990万円。いずれも10月より販売が開始される。
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