統合基盤を提供開始

オラクル、SOAはプリビルド時代へ

2007/08/15

 日本オラクルはオラクルアプリケーションだけでなく、他社アプリケーション、レガシーアプリケーションを統合するためのSOA基盤「Oracle Application Integration Architecture」(AIA)を7月10日に提供開始した。AIAを担当する米オラクルのアダプティブ・ビジネス・ソリューションズ・グループ プロダクト・ストラテジー担当ディレクター マイケル・シーモア(Michael Seymore)氏は、「事前構築済み(プリビルド)のSOAを提供することで、SOAに弾みがつく」と話す。

oracle01.jpg 米オラクルのアダプティブ・ビジネス・ソリューションズ・グループ プロダクト・ストラテジー担当ディレクター マイケル・シーモア氏

 AIAは、さまざまなアプリケーションが参照し、共通で利用する「共通オブジェクトモデル」とBPELベースの統合基盤、そしてオラクルアプリケーションの統合を事前検証したプリビルドの統合パッケージで構成する。複数のアプリケーション間でオブジェクトを共通化し、あらかじめ統合できることを確認したパッケージを導入することで、短期、低コストでSOA構築を実現するという。

 シーモア氏は「従来のSOA構築手法と比べて、少なくともコストとリスクを30%下げられる」と話す。共通オブジェクトモデルは、オラクルの次世代アプリケーション「Oracle Fusion Application」でも利用される予定で、アプリケーション拡張にも柔軟に対応できるという。

 用意するプリビルドのSOA環境は「Oracle E-Business Suite」と「Siebel CRM On Demand」の統合パッケージと、「Oracle E-Business Suite Order Management」「Siebel CRM」の統合パッケージ。これらの製品で実現するビジネスプロセスをほかの環境と容易に統合できるようになるという。「通常はインテグレーションのための知識が必要になるが、AIAでは事前検証によってアプリケーションやビジネスプロセスの差異を抽象化するため、専門的な知識が要らない。アプリケーションのアップグレード情報などもシールドするため、統合の邪魔にならない」(シーモア氏)という。ほかのオラクルアプリケーション向けにも統合パッケージを用意する。

 AIAはBPELなどの標準技術をベースにしていて、そのアーキテクチャや業種別のビジネスプロセスはパートナー企業に公開される。パートナー企業はAIAを使って、サードパーティのアプリケーションやレガシーアプリケーションの統合が可能という。シーモア氏は「SOAの企業導入に時間が掛かっているのはテクノロジはあっても、アプリケーションが対応できていなかったから」と指摘。「プリビルドSOAを提供することで、SOAが魅力を十分に発揮するための鍵を開けられる」と語った。

(@IT 垣内郁栄)

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