プロティビティ・ジャパンがイベント

内部統制のキモは「単純なプロセスはコントロールしやすい」

2007/08/29

 多くの上場企業は2008年4月からの事業年度に適用される財務報告にかかる内部統制の整備に躍起になっている。しかし、プロティビティ・ジャパンの代表取締役社長 神林比洋雄氏は「内部統制への取り組みを法令対応への合格、不合格ではなく、持続可能なプロセス能力向上の機会として捉えるべきだ」と話し、長期的な視点に立った「エンタープライズ・リスク管理」(ERM)の構築を訴えた。

protiviti01.jpg プロティビティ・ジャパンの代表取締役社長 神林比洋雄氏

 神林氏は同社が8月29日に都内で開催したイベントで講演した。日本の内部統制制度で求められるのは、一言でいえば「内部統制評価報告書において『内部統制が有効』(内部統制に重要な欠陥がない)と表明することだ」(同氏)。しかし、重要な欠陥がないというベースラインを超えることだけを考えていると、企業は年度末になってから内部統制のチェックを開始するドタバタを毎年繰り返すことになる。このような方法では内部統制の品質も安定しないし、コストだけがかかり、企業の効率性向上に結びつくことはない。

 企業が注力すべきは「プロセスの品質向上」と神林氏は強調する。このことによって内部統制の整備が、企業全体のプロセス標準の確立やベストプラクティスの共有など企業価値の向上につながることになる。

 プロセス能力向上につながる内部統制整備の条件とは何だろうか。神林氏はその1つとしてシステムを使った予防的な統制による、持続可能な内部統制構造を挙げた。ポイントは2つ。「高コストでやり直し作業の定着につながる発見的コントロール(統制)ではなく、予防的コントロールを重視する」「人に依存したコントロールではなく、システムベースのコントロールを重視する」ことだ。この2つのポイントを押さえることで、低コストながら質の高い内部統制の構築に近づけるという。

 現状の業務プロセスの見直しもプロセス能力向上の条件だ。間違いを見つけてから修正するという内部統制の改善方法から、不備を発生源から排除できるようなプロセスに改善する。神林氏は「単純なプロセスは複雑なプロセスよりもコントロールしやすい」と話した。

(@IT 垣内郁栄)

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