5〜10年後にはタッチ入力が標準的なUI
「HTCのタッチ式新UIはiPhoneより使いやすい」、HTC
2007/08/31
「モバイル端末におけるタッチ入力UIは、マウスが登場したときのような分水嶺になる。今から5〜10年後に振り返ると2007年は転換点だったということになるだろう」。前日にNTTドコモから発表された新携帯電話端末「HT1100」を開発した台湾HTCは8月31日、都内で会見を開き、チーフ・マーケティング・オフィサーのジョン・ワン(王景弘)氏は、同社が開発した“HTC Touch”について、そう語った。「しかし、タッチ入力UIは、まだ登場したばかり。これからより多くのイノベーションが起こるだろう。われわれは2年前から開発に取り組み、この分野でリーダシップを取っている」(ワン氏)。
iPhoneより使いやすいHTC Touch
ワン氏が指摘するとおり、ディスプレイに直接触れて操作するUIは、今後ますます一般化するだろう。ワン氏は言う。「携帯電話は、これまで25年間で形やサイズやモノクロからカラー表示に変わっただけで、相変わらずボタンを押している。いくらアイコンをかわいくしても、メニュー構成を簡素化しても、まだ使い方を学ぶ必要がある。HTC Touchは使用法について学ぶことを少しでも減らすというのではなく、学ぶ必要そのものをなくすもの。われわれは生まれたときから手で操作しているから、すでにやり方を知っているのだ」。
同様のUIを採用して話題となったiPhoneについてコメントを求められたCEOのピーター・チョウ(周永明)氏は「他社の製品についてはコメントしない」と即答したが、ワン氏のほうは思わず本音を漏らしてしまったようだ。デモンストレーションの場でHTC Touchの良さを語った同氏は、「iPhoneのマルチタッチ入力が話題になっているが、ケータイのように小さなデバイスでは使いづらく、特に片手で使おうとすると落としかねない。HTC Touchは片手で操作ができるようデザインされている」(ワン氏)。デモンストレーションの映像は以下のとおり。
HTC Touchのデモンストレーション映像
HTC Touchでは、触れているものがペンなのか指なのかや男性と女性の指の違いまで分かるという。原理については「簡単には説明できない」(ワン氏)とし、触れている面積での判別だけではないという。ペン先で操作している場合と、指先で操作しているときとでは微妙に動作が異なる。例えば、ウィンドウを閉じる「×」のアイコンを触れるときに指であると判定された場合には、自動的にタッチ可能な領域が広くなっているという。
HTC Touchの機能はハードウェアとソフトウェアで実現されているが、スクロールやアイコン選択などの操作を行う程度であれば、アプリケーション側で特殊なAPIを使う必要はないようだ。逆に、再生中の動画を早送りするといった操作をHTC Touchで行うには、アプリケーション側での対応が必要だ。ただし、現在のところSDKを配布する予定はないという。
設立10周年、年間出荷台数1000万台
2006年夏にNTTドコモから法人向け端末「hTc Z」を発売したHTCは、その後も徐々に日本のスマートフォン市場で独特のプレゼンスを強めている。ソフトバンクモバイルからはhTc Zと同等の「X01HT」を今年春に発売したほか、QWERTYキーボード搭載の「X02HT」をまもなくリリースする。また、日本市場に向けてSIMロックフリー端末の「HTC Advantage X7501」、「HTC P3600」の2台を9月以降に自社ブランドで発売する予定だ。自社ブランド端末を投入はするものの、「携帯電話会社との緊密な協力のもとに設計を行うのがHTCの強み。自社ブランド端末とキャリア端末が市場でコンフリクトしないようにする」(チョウ氏)のが基本方針だ。
HTCの設立は1997年5月で今年で10周年。日米欧に拠点を持ち、ワールドワイドで社員は約4900人。ドイツ・テレコム、ブリティッシュ・テレコムへの端末提供でスタートした携帯電話端末事業では、欧州で5社、米国で4社、日本で2社の携帯電話会社とパートナーシップを築いている。2006年の販売実績が1000万台で、欧州のスマートフォン市場ではノキアに次いで2位のシェアを持つという。Windows Mobile搭載の端末については世界シェアの約80%を握る。2000年にコンパック(現HP)に提供したiPaqは世界初のカラー対応PocketPCとしてヒットとなったほか、無線対応PocketPC、3G対応Windows Mobile端末でも業界初という、業界をリードする端末をリリースしてきた実績がある。
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