IPAが中間報告
「初級シスアド」消える――情報処理技術者試験が大改革へ
2007/09/07
情報処理推進機構(IPA)は9月7日、情報処理技術者試験を改革する中間報告を発表した。同日からパブリックコメントを受け付けて、最終報告を11月にまとめる予定。人気の「初級システムアドミニストレータ試験」が別試験に吸収されるなど、大変革といえそうだ。
改革の柱は2つだ。現行試験は情報システムの開発側と利用側にカテゴリが分かれているが、この区別を取り払い、開発側と利用側で試験を共通化する。IPAの情報処理技術者試験センター長の澁谷隆氏は「ベンダ側と利用側が同じレベルになってきちんと会話できないと、有効なシステムは作れない」と改革の狙いを説明する。もう1つはこれまでになかったレベル分けの導入だ。ITスキル標準や組み込みスキル標準、情報システムユーザースキル標準との整合化を図り、これらのフレームワークで導入されているレベル分けを情報処理技術者試験にも適用した。
新試験では、新たにエントリ試験(ITパスポート試験、レベル1)を導入する。「職業人として誰もが共有に備えておくべき基礎的な知識を測る試験」で、現行の初級システムアドミニストレータ試験を部分的に吸収する。ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野から出題。エントリ試験ではPC上で試験問題に答える「コンピュータ・ベースド・テスティング」(CBT)を導入する。澁谷氏はエントリ試験について「技術オンリーのマニアックな試験は避ける。技術の中身よりもその機能、利用法を問う試験だ」と話し、50%程度の合格率を目指すとした。
また、現行の「基本情報技術者試験」「ソフトウェア開発技術者試験」に対応する新試験として新試験の「基本情報技術者試験」(レベル2)と上位の「応用情報技術者試験」(レベル3)を実施する。基本情報技術者試験の対象者は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持ち、実践的な活用能力を身に付けた者」。従来の初級システムアドミニストレータ試験の内容も一部吸収する。応用情報技術者試験の対象は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者」。
より上位の高度試験(レベル4)は現在の11区分を9区分に再編する。「システムアナリスト試験」と「上級システムアドミニストレータ試験」を統合し、「ITストラテジスト試験」(仮称)を創設。従来は開発側試験だった「テクニカルエンジニア試験(情報セキュリティ)」と、利用側の「情報セキュリティアドミニストレータ試験」も統合し、「情報セキュリティプロフェッショナル試験」(仮称)として実施する。
新試験は最終決定をした後、平成20年度秋期にまずはエントリ試験を実施する。ただ、CBTではなくペーパー方式で実施。初級システムアドミニストレータ試験は実施しない。そのほかの試験は現行の試験制度で行う。全面的に新試験に移行するのは平成21年度春期からを予定している。
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