カギはリアルタイムコラボレーション
米国「Office 2.0 Conference」レポート
2007/09/10
米国サンフランシスコで開催された「Office 2.0 Conference」で9月6日(米国時間)に行われたキックオフキーノートパネルに参加したグーグル、マイクロソフト、SAPなどのベンダによると、将来の仕事ではリアルタイムコラボレーションが一般化するという。
パネルモデレーターを務めたブロガーのオーム・マリク氏の司会の下、パネリストたちは職場がオンライン作業空間に進化する過程について幅広い議論を交わした。将来のオンライン作業空間では、多様なデバイスを利用するユーザーがWikiやブログを通じて同一のドキュメント上で作業し、情報を共有するようになるという。
これは決して驚くようなことではないが、セントレジスホテルで行われたオープニングキーノートの聴衆は、それぞれの分野の専門家がオフィスプロダクティビティ市場の今後の方向性について論じるのに熱心に耳を傾けた。
Google Spreadsheetsのプロダクトマネジャーを務めるジョナサン・ロシェル氏によると、この新興分野のカギはコラボレーションだという。しかし同氏はその一方で、どこにいても仕事ができるようになれば、仕事と家庭生活を区別するのが難しくなると警告した。
「人々はあらゆるビジネス活動において非常に多くの選択肢に直面している」とロシェル氏は指摘した。
マリク氏は、Google Docs & Spreadsheetsを利用して容易にコラボレーションを行えるというのは、Googleのユーザーにとってどれくらい重要なのかとロシェル氏に質問した。
ロシェル氏によると、ユーザーがリアルタイムコラボレーションを要求したわけではないが、Googleがその機能をAppsソフトウェアで提供したところ、ユーザーは熱狂的に受け入れたという。さらに同氏は、従業員が同じドキュメントの複数のバージョンではなく、同一のドキュメント上で作業できるのを企業は歓迎していると述べた。
また、Google Appsの登場により、添付ファイルという存在が時代遅れになったとロシェル氏は話す。「グーグル社内では、従来型のオフィスソフトの添付ファイルを送信したりすると叱られる」と同氏。従業員は添付ファイルをやり取りするのではなく、ドキュメントのオンライン版を検索するだけだという。
さらにマリク氏は、このOffice 2.0の世界では、人々はどんなことを期待できるのかと尋ねた。
インテュイットで戦略とイノベーションを担当するスティーブン・オールドリッチ氏は、MySpaceやFacebook、LinkedInなどのソーシャルネットワーキングアプリケーションが企業に浸透すると予測する。「社内でこういったアプリケーションをコラボレーションツールと組み合わせることで、人々の働き方が大きく変わる可能性がある」とオールドリッチ氏は話す。
マリク氏は次に、Microsoft Office担当コーポレート副社長のリチャード・マッカニフ氏に質問を振り向け、同社の最近の動きについて聞いた。マイクロソフトはWindows Liveサービスを通じてソーシャルネットワーキングツールの分野に参加はしているものの、まだ小手調べのような段階であり、本腰を入れてこの分野に取り組んでいるわけではない。
「これは非常に有望な市場だと考えている」とマッカニフ氏は答えた。「大きなチャンスと可能性を秘めた分野だということは明らかだ。当社の目指す方向を知りたいのであれば、次のように質問していただきたい――『何がコンシューマの利益になるのか?』『われわれはビジネスユーザーのために何をしているのか?』『われわれはどのようにして人々の生活に価値を付加しようとしているのか?』と」
オープンソースのオンデマンド型アプリケーションを専門に手がけるEtelosのダニー・コルケCEOによると、Office 2.0現象は非常に動きが速いため、市場がツールを求めているのに、「供給側の準備が間に合わない場合が多い」という。「需要に追いつけないような状況だ。この市場の吸収力は巨大であり、さまざまなツールをどん欲に求めている。毎日、素晴らしいアプリケーションが大量に出現している。われわれはさらにイノベーションを追求すべきだ」と同氏は語る。
Googleに対抗するZoho
Zoho/AdventNetは、Google Appsの時代に見過ごされがちな企業の1社だ。しかし30万ユーザーを抱える同社は、着実なペースでイノベーションを生み出している。
グーグルとの差を縮めるべく、Zohoは9月6日、「Zoho Business」を発表した。これはZohoのオンラインホスティング型プロダクティビティツールを統合したスイートで、ワープロ、表計算、チャット、会議室などのツールが含まれる。
Zoho Businessの1ユーザー当たりの年会費は、(Google Appsの年会費50ドルを下回る)40ドルとなっており、Google(が指し示そうとする)ルートを進むことを好まないユーザーに魅力的な選択肢を提供する。両社のサービスの主要な違いはどこにあるのだろうか。
Zohoのエバンジェリスト、ラジュ・ベゲスナ氏によると、同社のサービスはエンタープライズ市場を主眼に置いて一から構築されたものであり、企業ユーザーよりもコンシューマに主眼を置いたGoogle Appsよりも優れた選択肢だという。
OpenRoadは「ThoughtFarmer」を披露
筆者は以前、「JotSpot」を使ったことがあるが、企業での本格的なWikiの活用形態は見たことがなかった。このため、OpenRoad Communicationsが開発した企業向けWikiである「ThoughtFarmer」を見ることができたのはうれしかった。
マイクロソフトベースのファイアウォール内部の製品として、Atlassian Software SystemsやSocialtextの製品と対抗するThoughtFarmerのインタフェースは、「Google News」ページとそっくりだ。
ThoughtFarmerで重視されているのは使いやすさだ。OpenRoadのクリス・マクグラスCEOは、タグ、画像、RSSフィード、電子メールなど、同サイトの多彩な機能を紹介した。
本記事で取り上げたのは、Office 2.0分野を狙う主要企業のほんの一部に過ぎない。これらの企業が今後いつまで存続するかは分からない。Office 2.0 Conferenceでは、あっと驚くようなニュースはなかったが、魅力的なイノベーションの話題には事欠かなかった。
(eWEEK Clint Boulton)
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