アジア初のカンファレンス開催
MySQLで「これまで手の届かなかった人にもデータベースを」
2007/09/12
MySQLは、アジア地域では初のカンファレンスとなる「MySQL Users Conference Japan 2007」を9月11日、12日にわたって開催している。この中で同社は、日本市場向けの強化策をいくつか打ち出した。
MySQLは、「高機能よりも高性能、高信頼性」をモットーとするオープンソースのDBMSだ。全世界で1100万ライセンス以上がインストールされており、現在も1日に約5万のダウンロードがある。中でも、Yahoo!のほか、mixiや楽天といったオンラインサービスを提供する企業で広く利用されているという。MySQL ABのCEO、マーテン・ミコス氏は基調講演の中で、「多くの顧客が、自社の事業の中核としてMySQLを活用している」と述べた。
一方、法人としてのMySQLは、企業向けにテクニカルサポート管理サービス「MySQL Enterprise Monitor」やナレッジベース、セキュリティアドバイザリの提供といった部分をビジネスとしている。
同社は11日、特に日本のエンタープライズ市場でのMySQL導入を支援する施策として、日本語によるMySQL認定資格試験を開始すること発表した。また、MySQL Enterprise Monitorについても、日本語版をまもなく提供する予定という。
「これまでデータベースを必要としながら、手が届かなかった人たちにサービスを提供していく。トヨタ自動車やIKEAがやってきたのと同じように、低コストで優れたものを提供する」(ミコス氏)
また、パートナー企業の1社である日本ヒューレット・パッカードも、MySQL向けのサービスを強化する方針を発表した。同社取締役専務執行役員の吉田雅彦氏は、基調講演の中で「日本語対応は重要な鍵。HP-UXやWindows、そしてLinux上のMySQLを対象に、日本語での24時間体制でのサービスを開始する」と述べた。同時に、サポートサービスの料金を約30%値下げすることも明らかにしている。
企業にとって欠かせないコンポーネントに
基調講演の最後には、Rubyの開発者にしてネットワーク応用通信研究所フェローのまつもとゆきひろ氏が登場し「オープンソースソフトウェアを使うかどうかではなく、オープンソースにコミットするかどうかが、企業の成功の鍵を握る時代になってくるだろう。いや、もうそういう時代になっている」と述べた。
まつもと氏によると、この10年間でオープンソースソフトウェアに対する世間の姿勢は大きく変わったという。「しばらく前まで、エンタープライズ領域におけるオープンソースソフトウェアは『信頼できない』『何で大事なソフトウェアをわざわざ公開するのか理解できない』『上司がうんと言わないので使えない』という三重苦だった」(同氏)
しかし、その流れは変わりつつあるという。当初、技術者からは高く評価されながら、エンタープライズシステムでは使えないだろうと言われたRubyも、フレームワークの「Ruby on Rails」が登場した頃から「仕事に使えるかもしれない」ととらえられるようになった。
同時に、企業そのものにとっても、オープンソースが重要な要素になっているとまつもと氏は述べた。自らが属するネットワーク応用通信研究所(NaCl)や楽天技術研究所の例を挙げ、「もしRubyやオープンソースソフトウェアにコミットしなければ、ここまで生き残ってこれなかったかもしれない」(同氏)
「オープンソースは企業にとって欠かせないコンポーネントになっている。MySQLはその世界で先をいっているが、Rubyもその仲間入りをしたい」(まつもと氏)
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