個別のセキュリティ対策では行き詰まる

NECが「協調型セキュリティ」を強化、人や物理的対策も視野に

2007/09/14

 NECは9月14日、セキュリティ対策ソフトウェア「InfoCage」を中核とした企業向けセキュリティ製品群を強化した。

 同社は2007年9月に、クライアントPCのみならず、サーバやネットワークも含めた組織全体のセキュリティ強化を支援する「協調型セキュリティ」という考え方を打ち出している。ウイルスや情報漏えいといったさまざまな問題に個別に対策する代わりに、セキュリティ機能を互いに連携させ、一貫したポリシーに基づいて情報資産全体を保護するというアプローチだ。

infocage01.jpg NEC 執行役員の岡田高行氏

 同社執行役員の岡田高行氏は、「個別の対策を取っていてはシステムが複雑化し、管理・運用コストが問題となる。また、セキュリティを高めるということは利便性とのトレードオフであり、このバランスをどうするかが課題だ」と指摘した。また、携帯電話のセキュリティに代表されるとおり、常に新たなセキュリティ脅威が登場してくる現状を踏まえると、人海戦術による対応には限界があるという。

 NECでは協調型セキュリティというコンセプトを掲げることで、こうした一連の課題に対処していく考えだ。今後も「このコンセプトを拡大し、フィジカルな環境や業務アプリケーションも対象としていく」(岡田氏)という。

 「例えば、あるPCから、本来ならばアクセスが許可されていない会計システムに対するアクセスが頻繁に発生したならば、そのことをセキュリティマネジメント側に通報し、部屋をロックするとともに警備員が急行するといった具合に、人間系やフィジカルも含めたシステム全体のセキュリティソリューションを提供していきたい」(同氏)

マネジメント面を強化

 今回の発表では、「セキュリティマネジメントが重要な鍵を握る。ツールやソフトウェアだけでなく人のノウハウが必要」(岡田氏)という考えから、特にマネジメントの部分を強化した。

 まず、InfoCage各製品と連動する統合管理ツール「InfoCage セキュリティリスク管理」を追加した。各PCのセキュリティ対策状況を把握し、可視化できるほか、ポリシーの強制適用、権限に基づく利用範囲の制御などが行える。WebSAM AssetSuiteと連携することで資産管理も可能だ。価格は500ユーザーの場合で218万円からとなる。

 また、セキュリティ対策の根幹となるID管理の部分では、「WebSAM SECUREMASTER/EnterpriseIdentityManager」の機能を強化した。兼務や定期的な一斉人事異動など、日本企業に特有な人事の流れに対応するが特徴だ。同時に、アクセス制御を行う新製品として「WebSAM SECUREMASTER/EnterpriseAccessManager」もリリースしている。

 さらに、リアルタイムに変化する脅威に対応するため、セキュリティコンサルティング分野でシマンテックと協業する。2009年度までにNECグループ内のコンサルティング・アドバイザを250名に増員し、セキュリティポリシーの管理や脆弱性診断、脅威の診断といったコンサルティングサービスを提供していく。

 同時に、パートナーとの協業も強化した。製品開発面で協力する「InfoCafe WORKS」に新たにジュニパーネットワークス、富士ゼロックス、マイクロソフトが参加したほか、販売協業を目的としたパートナー制度を新設する。

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(高橋睦美)

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