実績アピールで免許交付目指す

モバイルWiMAX:インテル、JR東を誘い込んだKDDI連合の勝算は

2007/09/18

 KDDIとインテル、東日本旅客鉄道(JR東日本)、京セラ、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行は9月18日、モバイルWiMAX事業を行う新会社「ワイヤレスブロードバンド企画」を合弁で設立したと発表した。モバイルWiMAX事業を行うために必要な2.5GHz帯での免許交付を目指す。

 2.5GHz帯の免許交付は2つの予定。総務省の方針で3Gサービスを展開する事業者や、3G事業者への出資比率が3分の1以上の法人は免許交付の対象外となる。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルがモバイルWiMAXを行うには、出資比率を3分の1以下に設定し、他社と合弁企業を組む必要がある。ウィルコムは次世代PHSとして単独で免許取得を目指すことを表明。NTTドコモはアッカと組む。ソフトバンクモバイルはイー・アクセスと提携した。KDDIはインテルやJR東日本、京セラなど広範なパートナーと組む。

 ワイヤレスブロードバンド企画は8月29日に設立。各社が9月27日までに増資を完了する予定。9月27日時点での資本金は8億5000万円で、出資比率はKDDIが32.26%、インテル キャピタルとJR東日本、京セラがそれぞれ17.65%、大和証券が9.8%、三菱東京UFJが5%となる見込み。事業免許取得後にさらに増資を行う。新会社の代表取締役社長はKDDI出身の田中孝司氏。

kddi01.jpg 新会社に出資した各社の幹部。中央がKDDIの代表取締役社長兼会長 小野寺正氏

実績アピールで免許取得狙う

 KDDI連合の最大のチャレンジは2.5HGz帯での事業免許の取得だ。ウィルコムがすでに“当確”とも、うわさされる中、残る枠は1つ。KDDI連合がアピールするのはWiMAXについてのこれまでの実績だ。KDDIの代表取締役社長兼会長 小野寺正氏は9月18日の会見で、KDDIが2006年に大阪市で国内初のWiMAXの実証実験を実施したことや、業界団体のWiMAXフォーラムでの貢献を強調。MVNOにも積極的に取り組むと話し、「(新会社に参画する)各社の持つ技術、ノウハウ、カスタマベース、資金力を合わせることで、新会社が世界最高水準の多様なワイヤレスブロードバンドサービスを安定的に提供できる」と訴えた。

 モバイルWiMAXの事業内容については新会社 社長の田中氏が「WiMAXチップのPCへの組み込みを進行させる」と説明。モバイルPCやウルトラモバイルPCへの実装を進め、デジタル家電や企業ユース、コンシューマ向けデバイスへの拡大を目指すとした。小野寺氏も「モバイルWiMAXは基本的にEmbedded(組み込み)でやっていく」と話した。

 2.5GHz帯の免許申請は9月10日に開始。10月12日まで受け付ける。総務省は年内にも2つの事業者を認定する見込み。

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(@IT 垣内郁栄)

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