オフィスソフトのトリプルプレイ達成
「Googleドキュメント」プレゼンソフトができること、できないこと
2007/09/19
グーグルがWebブラウザで利用できるプレゼンテーション作成ソフトウェアを発表した。これまで提供してきたワープロ、表計算ソフトウェアと併せて「Googleドキュメント」の名称で提供する。ワープロ、表計算、プレゼンテーションはオフィスで使用する主要アプリケーション。このオフィスにおける“トリプルプレイ”ともいえる主要アプリケーションがオンラインに移行することで、従来のデスクトップアプリケーションと比べて、その使い方はどう変わるのだろうか。
Googleドキュメントのプレゼンテーションソフトができることと、できないことを整理してみよう。比較するのはMicrosoft PowerPointだ。
Googleドキュメントはテキストベースのプレゼンテーションを作成するための基本機能は十分だ。作成するスライドを選択し、5種類のレイアウトから目的のレイアウトを選び、テキストを入力する。必要ならテキストボックスや画像を追加できる。フォントの指定やサイズ、カラーも設定可能で、シンプルなプレゼンテーションなら柔軟に作成できるだろう。15種類のテーマも用意されている。
では、できないことは何だろうか。PowerPointと比べるとどうしても見劣りするのが、グラフィックス系の機能だ。グラフや表組みを作成できないのはもちろん、ページ繰りの設定やアニメーション機能もない。Googleドキュメントの表計算ソフトで作成したグラフを貼り付けようとしたが、うまく行かなかった。スライドや配布資料、ノートなど目的別の印刷設定もできない。
Googleドキュメントの価値
だが、Googleドキュメントのプレゼンソフトが、PowerPoint並みに使えないことで、がっかりするかといえばそうではない。GoogleドキュメントとPowerPoint(WordやExcelでも同じだが)を同じカテゴリのソフトウェアと規定して比較するのが、そもそも間違っているのだ。Googleドキュメントの最大の価値はオンラインにあるということ。オンライン上にファイルがあることで、ほかのユーザーとの共同作業が可能になる。チャット機能もある。実際に共同作業を行って表計算のシートを埋めてみたが、生産性の高さを実感できた。
Googleドキュメントのプレゼンソフトでも共同作業はもちろん可能。複数ユーザーがアイデアを持ち寄ることができ、企画書の説明資料の作成などには最適だろう。PowerPointがプロジェクターをPCに接続し、資料を投影することを前提にしているのに対して、Googleドキュメントのプレゼンソフトはオンラインでのプレゼンテーションを第一に考えている。「プレゼンテーションを開く」のリンクをクリックすると、作成したプレゼンテーションをほかのユーザーにオンラインで見せることができる。ほかのユーザーはWebブラウザを開いて指定されたURLにアクセスする形だ。
ただ、このオンラインプレゼンテーションの機能はグーグルも試行段階のようで洗練されていない。ほかのユーザーにプレゼンテーションをするにはURLを電子メールで送信しないといけない。Gmailのアドレス帳などと連携して招待メールを送信できるようになれば、より簡単になる。
グーグルがSaaS型のオフィススイートを提供し始めた当初、「マイクロソフト対グーグル」「Microsoft Office対Google Apps」などマイクロソフトとの対立軸で解説されることが多かった。確かにグーグルの動向はマイクロソフトにとって大いに脅威だろうが、Googleドキュメントは単純にMicrosoft Officeに置き換わるソフトウェアではない。何かの代替というよりも、SaaSの価値を提供する新しいカテゴリのソフトウェアといえるのではないか。
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