電力問題が後押し
「メインフレーム」復活の兆し、流行サイクルが一巡?
2007/09/20
サン・マイクロシステムズに在籍する名高い科学者で、Javaの父としても広く知られるジェームズ・ゴスリング氏は、しばしばそれを「デカブツ」サーバと呼ぶ。ほとんどがIBM製だという理由で、同社の愛称からビッグブルーと呼ぶ者もいるし、単純に一部屋大のコンピュータと呼ぶ者もいる。
しかし最も浸透している通り名は、やはり「メインフレーム」コンピュータだろう。ある事情通の業界識者に聞いたところによると、そのメインフレームが、新設のデータセンターで再び採用される傾向が徐々に強くなっているという。
「Data Center World」を開催している、専門職協会AFCOMのプレジデントに最近就任したウィリアム・ディベラ氏は、1950年代からIT業界で重要な役割を担い続けてきたメインフレームが、いまも立派に現役を務めているのは間違いないと、eWEEKに語った。同氏は9月17日に行われたインタビューで、データセンターにおける電力および冷却問題が注目されている昨今、メインフレームの復権は特に顕著になっていると話している。
「30〜40年前からのメインフレーム時代、1990年代の小型マシン全盛期、さらには最近のメインフレーム復活期と、IT業界における流行のサイクルは一巡している。多くの企業が、このまま安価なサーバ本体を買い足し、ラックに詰め込み続けることはできないと感じ始めているのだ。スペースが不足するようにな日も、そう遠くない。電力供給量は制限されるようになっており、個々のサーバに必要な動力とコストも増えている」(ディベラ氏)
「Unbreakable Linux」と並列データベースを喧伝していたオラクルなどの企業が、比較的安価なラック仕様サーバにおいて、多数の結合しあうオープンシステム上で稼働するITシステムを構築することを推奨していた3〜4年前とは、事情がだいぶ異なってきているのだ。
「3500台のサーバを30台のメインフレームに集約させた大企業の事例もあった。その電力節減効果は、きわめて大きい。こうした大規模なサーバファームを所有している企業は、メインフレームへの統合を進めるか、あらゆるものを仮想化するか、もしくはその両方を行わなければならないだろう」(ディベラ氏)
ディベラ氏と、AFCOMの最高経営責任者(CEO)であるジル・エクハウス氏によれば、同組織に加盟している大企業の中には、最低でも1台のメインフレームを軸にした小規模かつ高密度なデータセンターに、サーバファームを統合しようと計画しているところが実際にあるという。
「一部の大企業では、冗長化のためにメインフレームが2台は必要になるだろうが、いずれにしろ変化が起こり始めているのは確かだ。メインフレームは長持ちするし、使用効率に優れ、管理も簡単だ。『もっとストレージが必要だって? それならラックに150台ほどサーバを放り込んでおけ』と言い合っていたのは、もう過去の話なのである」(エクハウス氏)
ニューヨーク州アーモンクに本拠を置くメインフレーム企業IBMも、顧客が扉を叩くのを手ぐすね引いて待っている。
今年6月、同社は「Destination z」プログラムを立ち上げた。これは、IBMのメインフレームユーザーや独立系ソフトウェアベンダ、パートナーなどにWebポータルを提供し、同社の「System z」メインフレームをさまざまな面から論じ合えるようにするプログラムだ。Destination zでは、メインフレームユーザーらがアイディアを交換したり、互いにスキルを磨く仲間を見つけたりすることができる。
カリフォルニア州オレンジに拠点のあるAFCOMは、データセンターの専門家を対象とした連合組織で、世界中のデータセンターの管理業務をサポートするサービスを提供している。1980年に設立されたAFCOMには、現在3600名の会員が参加しており、各国に26の支部がある。
(eWEEK Chris Preimesberger)
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