Linuxの仮想化機能はXenよりもKVMが主流派に?

レッドハットいわく「仮想化はOSの仕事」

2007/09/20

 レッドハットは9月20日、仮想化技術の動向と同社の取り組みについて説明した。この中で同社のマーケティング&パートナービジネス統括本部長、纐纈昌嗣氏は、すでにサポート済みのXenに加え、KVM(Kernel-based Virtual Machine)を取り込んでいく考え方を示した。

 纐纈氏は、CPUやメモリ、ストレージといったリソースを管理するのは「本来OSの仕事である」と述べた。「基本的な考え方として、仮想化はOSの仕事。ミドルウェアで何かをやるという方法は、将来なくなるのではと考えている」という。

 すでにレッドハットは、Red Hat Enterprise Linux 5.1で仮想化ソフトウェアの「Xen 3.1」を実装している。しかし、Linuxの標準であるカーネルツリーに取り込まれたのはKVMのほうだ。また、Xenを中心とした仮想化ソリューションを提供してきた米XenSourceが米シトリックス・システムズに買収され、マイクロソフトとの距離感が縮まったことから、オープンソースコミュニティ側の反感を買う可能性もある。

 こうした背景を踏まえ、「バーチャルマシンとして見れば、Xenのほうが機能的にも性能的にも優れている。しかし、Linux上の仮想化機能の実装としては、KVMが主流になるかもしれない」と纐纈氏は述べた。

redhat01.jpg レッドハットマーケティング&パートナービジネス統括本部長、纐纈昌嗣氏

 どのようにKVMを取り込んでいくかはまだ議論の途上というが、「(XenとKVMの)どちらも動かせるように、できればドライバなども含め互換性を持った形で使えるようにしていきたい」(同氏)という。

 纐纈氏は同時に、仮想化という言葉がITシステムが抱えるあらゆる課題を解決するかのようにもてはやされ、バズワード化している現状に警鐘を鳴らした。

 当たり前だが、仮想化によって生まれるメリットもあれば、デメリットもある。「あまり言われることはないが、仮想化を導入すればパフォーマンスが少し遅くなる。また、システムの構造が複雑になるため、障害やトラブルが発生したときの対応が困難になる。さらに、ハードウェアが逝ってしまうと、その上のものもみんな落ちてしまう。1台の物理マシン上で10台の仮想マシンを動かしていれば、インパクトは10倍だ」(同氏)

 物理的なハードウェアにとらわれず、リソースの割り当てや集約が柔軟に行えることから、システム導入や不要になったシステムの撤去といった部分は仮想化技術の導入によって楽になるだろうと纐纈氏は述べた。しかし、運用管理の問題までも解決してくれるわけではないという。「仮想化技術は万能ではない。まだまだ発展途上のテクノロジであることを頭に入れるべき」(同氏)

 ただ、IAサーバという汎用的なプラットフォームの上で、仮想化技術が利用できるようになることのインパクトは大きいとも述べた。「仮想化技術はUNIXやメインフレームには標準的に実装されている機能だ。我々は、Linuxを機能的にUNIXやメインフレームと同等にすることで、これらを置き換えることができると考えている。仮想化技術によって、今まで以上にLinuxの活躍の場が広がるだろう」(同氏)

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(@IT 高橋睦美)

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