ワイヤレス高速充電技術をムラタとセイコーが共同開発へ

置くだけでノートPCを十数分で充電

2007/09/27

 村田製作所とセイコーエプソンは9月27日、ワイヤレスでモバイル機器の高速充電が行える「ワイヤレス急速充電システム」の共同開発に取り組むと発表した。3年以内の実用化を目指す。

murata01.jpg 公開された試作機。電圧モニター用のBluetoothモジュールを含むため、実際よりサイズは大きいという。モジュールには接点がなく、規定のエリアに置くだけで充電が始まる

 従来1〜2時間を要した充電時間が10〜15分程度に短縮されるほか、ワイヤレス充電を可能にする。接続のためのケーブルや端子が存在しないため、異なる機器で1つの充電器を共有できるという。また、原理的にはデバイス間での電力の伝送が可能であり、電源コンセントのない場所で充電済みの機器から、バッテリ切れの機器へ電力を移す応用も考えられるという。

 村田製作所が高速充電バッテリのモジュール開発を担当。エプソンはワイヤレス充電に必要な電力伝送システムや、デバイスのID認証のためのICの開発を担当する。村田製作所は電源回路設計技術や小型モジュール構造設計技術、それらに関わるシミュレーション技術に強みを持つ。エプソンは、すでに電磁誘導を用いたワイヤレス充電システム「AirTrans」を製品化している。AirTransで培った認証方式や、金属物体に電力を誤って伝送しない安全回路などを用いるとともに、伝送効率を上げることを開発の主眼とする。

 電磁誘導方式による充電システムは、現在すでに電気ひげそりや電動歯ブラシなど一部の電気機器で利用されている。ただ現状のシステムは伝送効率が約30%程度で充電電流が小さなものに限られていた。エプソンでは新技術の導入などで効率を70%まで高める。サンプル出荷が始まったAirTransの出力は0.5W。これに対して来年中頃にサンプル出荷を予定している製品では出力を2.5Wに高め、1000mA程度の容量を持つバッテリに適用可能となる。村田製作所と共同開発するものは、出力が15W程度になる見込みで2008年中には評価用サンプルを提供、2009年には製品を出荷するとしている。

murata03.jpg 試作機のデモンストレーション。赤いラインが通常の充電器による理論値。通常2時間程度かかる充電が15分前後で完了した
murata02.jpg ワイヤレス高速充電システムのシステム構成図

(@IT 西村賢)

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