ミッションクリティカル・ニーズへの対応が1つのカギ
富士通のサーバ事業は「利益体質を確保」、全方位作戦続ける
2007/10/03
メインフレームやUNIXマシンからx86 PCサーバへの移行の波に富士通はうまく乗ることができず、同社のサーバ事業は過去数年にわたり停滞していた。しかし同社が10月3日に実施したサーバ事業戦略に関する説明会の中で、経営執行役常務 システムプロダクトビジネスグループ長の富田達夫氏は「オープンサーバ拡大の中でも利益体質を維持できるところまで来た」と語り、今後も富士通のビジネスの核として同事業を推進していくと宣言した。
富士通の2007年度におけるサーバ関連製品の売り上げは2006年度に比べて微増だが、営業利益は約2倍となる見通しだ。営業利益の大幅な増加は、新開発のCPUを採用したメインフレームの新モデルやサン・マイクロシステムズと共同開発の「SPARC Enterprise」が今年に発売されたことで、「刈り取りの時期に入った」(富田氏)ことが大きな要因。しかしこれまで継続してきた生産現場での改善活動や、企画・開発・製造のすべてのプロセスにわたるリードタイムの短縮などによる体質改善が進み、利益率3〜5%は確保できるようになったという。
製品戦略について富田氏は、サーバ市場におけるメインフレーム、UNIXサーバ、IAサーバ、x86サーバの4ジャンルの構成比が今後変化を続けるとしても、急激な変化が起こるわけではないという認識を示し、今後も富士通はすべてのジャンルで製品の開発と投入に力を入れていくと話した。
メインフレームでは今年、処理能力1.5倍の新CPUを搭載した「GS21」シリーズを発表。また、GS関連資産を長期的にサポートしていく姿勢を示すため、専門の子会社を11月に設立する。さらにメインフレーム資産を生かしながらの移行を支援するため、SOA対応にも力を入れていく。2009年以降には次世代CPUの投入も考えているという。
UNIXサーバでの今年の大きなトピックはSPARC Enterpriseの発売だ。単一のブランド名で、サンと富士通が世界的に販売していく。新製品のエントリモデルはサンの「UltraSPARC T1」プロセッサを、ミッドレンジとハイエンドのモデルは富士通の開発した「SPARC64VI」プロセッサを搭載する。グローバルな市場拡大が見込めるという。
IAサーバではLSIやシステムバス、システム・ミラーリングのためのアーキテクチャといった独自性により、オープン性とミッションクリティカル性能の両立を今後も訴えていく。x86サーバはパーソナルシステム事業部に移管、PCとのシナジー効果を追求していく。拡大が見込まれるブレードサーバについては社長直下のビジネスプロジェクトチームを結成し、市場ニーズへの迅速な対応とグローバル市場への展開を図る。
富士通ではミッションクリティカル・ニーズが一部の大規模な基幹システム以外にも広がってきていること、そしてデータセンター関連市場が急拡大していることに特に注目、ビジネス拡大のきっかけとしていく。
「ミッションクリティカルは富士通のDNA。当社のエンジニアは全員ソースコードを解析できる。ミッションクリティカルを総合的に提供できる数少ないベンダとしてやっていく」(富田氏)という。
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