i2テクノロジーズとマイクロソフトの協業のその後を聞く

いままでのBIは複雑すぎてみんな使いこなせていなかった

2007/10/03

 i2テクノロジーズ・ジャパンとマイクロソフトが、共同でSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションを共同で開発・提供すると発表してから約1年が経過した。米国でなく日本が主導して開始したサービスだというが、その後の状況はどうなったのだろうか。来日中の米i2テクノロジーズ ストラテジックアライアンス部門 部長 カレン・ラウカ(Karen Laucka)氏に話を聞いた。

ラウカ氏写真 米i2テクノロジーズ ストラテジックアライアンス部門 部長 カレン・ラウカ氏

 i2テクノロジーズ・ジャパンとマイクロソフトの協業は、マイクロソフトのプラットフォームとi2テクノロジーズがSCM専業ベンダとして培ったノウハウを組み合わせたSCMソリューション「Global Real-Time PSI」を提供するというもの。

 その後、Microsoft.NET Framework上で共同開発したサプライチェーン分析ソリューション「i2 Intelligence」がリリースされた。i2 Intelligenceでは、i2テクノロジーズが持つSCMの技術と、マイクロソフトのBI技術、Officeプラットフォームなどを組み合わせたBIソリューションに近い製品になっている。

 具体的には、サプライチェーン専用のレポートとKPIに関する定義済みのライブラリが用意されているほか、データとプロセスを総合的に表示できる機能なども提供する。そして最大の特徴は、ExcelなどのOffice製品がインターフェイスになっている点だ。

 ラウカ氏はその点について、「今回のマイクロソフトとの共同開発プロジェクトでは、従来のBIに見られるような、単にユーザーへ情報を提供するという機能の枠を超えることを目指した。BIの利用が進んでいるとされる米国でさえ、既存のBI製品の機能をフルに使いこなしているユーザーは少ないだろう。われわれは、使い慣れたExcelをUIにすることで、BIの敷居を下げ、『Excelのスプレッドシートではできなかった高度な分析機能を、ExcelのUIで提供すること』を目指している」と説明した。

 i2 Intelligenceは、基本的にSharePointやSQL Serverとの利用を想定しているが、APIを利用することで、OracleやDB2、SAPなどとの連携も可能。ラウカ氏は「SharePointのポータル機能との連携によって、パーソナライズされたダッシュボードで各自に合った状況や問題が見えるほか、Web化されたExcelやOLAPによる分析レポートを行えるなど、さまざまな見える化を実現した」とコメント。また、日本にはExcelのコアユーザーが多いことから、「日本のExcelユーザーからはさまざまな意見を取り入れている。今回の機能ではExcelがUIとして重要な役割を担っているため、これらの声は重要だ。今後、さらにさまざまな声を取り入れていきたい」(ラウカ氏)とした。

 今後の2社の協力関係の方向性について、ラウカ氏は「現在、両社は開発や営業、マーケティングなどでワールドワイドで協力しているが、今後これらをさらに強化していきた。また、i2 Intelligenceなど両社で共同開発した製品とマイクロソフト製品の関係をより密接にしていきたい。すぐには無理だろうが、ゆくゆくはマイクロソフトのBI製品などと同様の扱いくらいにまで密接な関係を築ければと考えている」とコメントした。

(@IT 大津心)

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