IFS、次世代インターフェイスAuroraを発表
企業向けアプリケーションのUIに満足しているユーザーはたったの4%
2007/10/16
スウェーデンのIFSは10月15日(現地時間)、紅葉が目立ち肌寒いドイツ・ベルリンにおいてプライベートカンファレンス「IFS World Conference 2007」を開幕した。IFS World Conference 2007の基調講演では、ERP製品の新バージョン「IFS Applications 7.5」や、次世代インターフェイス「Aurora(オーロラ)」が発表された。
将来世界経済の中心となる中国やインドにどう対抗する?
基調講演では、世界的な景気予測家の1人であるリチャード・スケース(Richard Scase)教授が登壇した。教授はまず、経済のグローバル化が加速し、グローバライゼーションの第2波が来ていると指摘。今後の経済はアジア中心、特にインドや中国が中心になると予測した。
例えばインドのGDPは、2022年に英国を抜き、2032年には日本、2050年に米国を抜く。2010年のインドは、2億5000万人の優良顧客が存在し、年収10万ドル強が200万人を超え、700万人のぜいたく品市場が構成されるという。中国も2005年に英国を抜いており、2008年には独、2027年には米国を抜くとした。2010年の中国は、2億人の優良顧客が存在し、米国に次いで2番目のぜいたく品市場を形成。2025年には世界の取引の25%を占めるまでになるとした。
このように、将来は中国・インドを中心としたBRICsが経済の中心になることが予測されるため、欧米諸国はビジネスの形態を大きく変えていく必要があると強調した。そして、そのためには教育改革や“iPod世代”と呼ばれる新しい世代の才能の活用や、戦略的提携の拡大などが必須であり、危機感を持って改革していかなければならないと説いた。
エンタープライズアプリケーションのUIに満足しているのはたったの4%
続いて登壇したのは、IFS CEOのアレステア・ソービー(Alastair Sorbie)氏。ソービー氏は、現在のIFSは第3フェイズに来ているという。第1フェイズは1997年〜2000年で、同社が急拡大して上場を遂げた時期。第2フェイズは2001年〜2005年で、ドットコムバブルの崩壊によって市場が大きく変動し、組織固めを行った時期。そして、同氏が就任した2006年以降は、2005年まで低調だった市場が大きく反発した時期だという。
ソービー氏はIFSの戦略として、「グローバル化の促進」や「業界特化型ソリューションの加速」「パートナーの強化」などを挙げている。グローバル化の促進では、いままで地域内で完結していた知識の共有(ナレッジマネジメント)を他国支社とも積極的に交流させていく。また、業界特化型ソリューションでは、現在注力している製造や流通など7業界をさらに掘り下げて強化する。そして、「最も重要なことは、顧客にチョイスを与えることだ。“The biggest is the best”ではない」と強調した。
このような同社の取り組みをサポートするのが、同社のERP製品の新バージョンである「IFS Applications 7.5」(以下、IFS 7.5)だ。IFS 7.5の主な新機能は3つ。1つ目は「グローバルビジネス機能」。これはグローバル展開する企業をサポートする機能で、グローバル展開に必要なナレッジマネジメントなどを提供する機能だ。
2つ目は「プロジェクト管理機能」。この機能は部署ごとではなく、プロジェクトごとにさまざまな管理ができるようになる機能だ。最近ではプロジェクトチーム結成時に、各部署をまたいだ組織作りをしなければならないケースが多いため、部署ごとの管理ではなくプロジェクトごとの人・物・金の管理を可能にした。そして3つ目は「サプライチェーンの強化」。これは、従来のサプライチェーンの機能をさらに拡大したものだという。
そして、ソービー氏は「エンタープライズアプリケーションユーザーの4%しか、使い方が簡単だと思っていない」という調査結果を提示。ERPなどエンタープライズアプリケーションには革命的なUI(ユーザーインターフェイス)が必要だと強調した。
従来のERPのUIを一新した次世代UI「Aurora(オーロラ)」
この革命的なUIを提供するのが、同社の次世代UI「Aurora(オーロラ)」だ。オーロラは2008年3月にリリース予定で、IFS 7.5のアドオンとして機能する。従来のERPのUIのイメージを払拭し、Webブラウザのようなインターフェイスを備えている点が特徴だ。
例えば従来のERPの場合、各機能をドリルダウンしなければならなかったが、AuroraではInternet Explorerのショートカットアイコンのようなアイコンから各種機能を利用できるほか、検索窓による検索機能など、Webブラウザのナビゲーション機能に近い機能を多く搭載している。
また、ユーザーによって使い方のニーズが異なることから、「IEのようなアイコン」や「エキスプローラー型リンク」「最近使った画面」「主要機能からのドリルダウン」などさまざまな方法で目的の機能へたどりつけるように配慮した。
このような機能を搭載した背景には、「モジュールが異なるだけで、異なったコマンドになるなど、モジュールごとに方法が違う」「アプリケーションからほかのアプリケーションへデータを変換できない」「必要な情報へたどりつく方法を見つけるのが難しい」といったユーザーの声がある。
IFS CTO ダン・マシューズ(Dan Matthews)氏は、「IFSでは、このAuroraでSOAと.NET戦略を強化していく。Auroraでは、『Microsoft Virtual Earth』と連携した地図機能や、Excelからのインポートなど、さまざまな連携を今後も強化していきたい」とコメントした。
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