IFSパートナーのNECに事例を聞く
本社との強い提携関係と他製品との連携しやすさが製造業に強い秘訣
2007/10/17
日本でIFSのパートナーを務めるNECは10月16日(現地時間)、プライベートカンファレンス「IFS World Conference 2007」において、同社のIFS関連事業を紹介した。また、同社の導入事例などについて、NEC 第一製造ソリューション事業部 統括部長 菊池満氏と製造・装置ソリューション事業本部 統括マネージャー 岩田益明氏に話を聞いた。
日本独自の機能要求にも細かく対応、サポートシステムも共有
NECは1992年ころから生産管理に強いERP「Avalon」の取り扱いを開始。1997年にIFSがAvalonを買収したことから、IFSとの協業が始まった。IFSの強みについて菊池氏は、「製造業に強い点が大きなポイントだが、そのほかにも当社の要望に熱心に対応してくれる点が大きい。当社がお客さまと接して得た要望を真剣に受け止め、反映してくれる」と説明した。
例えば、日本の製造業の場合、製盤の機能が必須であることから、製盤機能についての機能要求をスウェーデン本社にしたところ、「NECの技術者を交えて意見交換を行い、迅速に対応してくれた」(菊池氏)という。その後、NECは中国やタイなど海外への展開を開始。2004年にはNECがIFSに約15億円を出資し、共同で中国への本格展開を開始するなど、関係を強化している。
2005年の「IFS Applications 7.0」リリース時には、IFSの開発拠点の1つがあるスリランカに4名の人員を派遣し、開発段階から深くかかわった。また、NECが受けたカスタマイズ要求もスリランカで対応しており、「NECのオフショア開発リソースとしても、スリランカの人員を利用しており、コスト削減などを実現した」(菊池氏)という。
サポート面でも協力を強化している。例えば、IFSが顧客サポート用に構築した24時間のグローバルサポートシステムを、アジアパシフィック地域においては、NECと共有している。このため、サポートに関するナレッジマネジメントが行えるほか、異なる拠点間でも情報共有ができるため、迅速な対応が可能になった。
こうした取り組みの結果、現在国内の顧客は40社77拠点となり、海外も中国22拠点、タイ16拠点、北米3拠点など計36社47拠点にまで拡大。NECのIFS部隊は、海外も含めると200名弱に及ぶ。
工場におけるERPの“リトライ需要”に強い
実際のケースではIFSが製造・生産系に強いことから、本社ではOracle EBS(E-Business Suite)など他社ERP製品を導入しているケースでも、生産・製造工場などにはIFSを導入するケースが多いという。特に最近では、「国内の古い工場や海外の工場などでは、最初は“動けば良い”程度の気持ちでERPを導入したものの、一定期間が経過してやりたいことが増えてきたために入れ替える“リトライ”需要が多い」(菊池氏)とした。
NECでは、2年前から自動車関連分野も本格的に手掛けるようになり、特にタイや中国の新規工場などを中心に展開。現在、特に建設機械、工作機械、生産設備産業などが好調だとした。
このように、リトライ需要でIFSが選ばれるポイントについて、「標準技術を使っているため、他社製品とも連携しやすい点が大きい。例えばドイツのERP製品の場合、ブラックボックスの部分が多いため、連携する際に“動かさないと分からない”といった要素がある。その点、既存システムと連携しやすい点は、リトライ需要に強い要因となっているだろう」(岩田氏)と説明した。
今後はRFIDとの連携や、北米市場強化に注力
今後はRFIDとの連携にも力を入れていくという。同社では、すでに同社パソコンの生産工場である米沢事業場において、2004年10月に従来のバーコード方式からRFIDへ変更。生産性の向上や生産リードタイムの短縮を実現した。さらに、部材調達領域においては「RFID付き電子かんばん」を導入している。
RFID付き電子かんばんとは、生産ラインで使用した部材の発注や納入指示を部材ベンダに伝達する手段である「かんばん」をRFID化したもの。実際に米沢事業場のマニュアルやバックアップ用CDで採用したところ、部材置き場の面積が半減したという。「今後は、このような同社のRFIDソリューションとIFSとの連携を強化していく」(岩田氏)と語った。
また、北米市場の強化も重視している。岩田氏は、「日本企業における北米進出の歴史は古いため、現在ではかなりの意思決定を現地でしており、日本本社と異なるERPシステムを導入しているケースが多い。このことが、北米で苦戦している要因となっている」と分析。しかし、現在日系企業の多くは、グローバルサプライチェーンの見直し時期に入っており、グローバルでシステムをトップダウン方式で統一しようといった動きが見られる。そこにビジネスチャンスを見出し、北米市場に食い込む方針だ。
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