イー・モバイルのモバイル通信インフラを利用

イー・アク、国内初の高速モバイル通信のMVNOに

2007/10/22

 基地局設置などによるモバイル通信網を自社で構築せず、他事業者のインフラを流用してサービスを行う通信事業者、いわゆる「MVNO」(Mobile Virtual Network Operator)。ADSL回線のホールセールを行うイー・アクセスが、高速モバイル通信事業において国内で初めてMVNOとなる見通しだ。

 同社はイー・モバイルと共同で10月22日、受信最大通信速度3.6Mbps、送信最大通信速度384kbpsの高速モバイルデータ通信規格「HSDPA」を用いた高速モバイルデータ通信サービスで協業すると発表した。イー・モバイルが持つモバイル向け通信のインフラによる接続サービスを、イー・アクセスが12月から提携ISPに提供する。提供先として決定しているのはBIGLOBE、So-net、DTI、@nifty、hi-ho。今後もイー・アクセスが提携するISP各社と検討を進めるという。ISP各社とは「MVNOコンソーシアム」を立ち上げ、業務上の問題解決や共同マーケティング、共同研究にも取り組む。

 これまでイー・アクセスはISP向けにADSLサービスのホールセール提供してきた。同サービスで提供してきた接続設備や業務連携インフラ、付加価値サービスを利用し、イー・モバイルの持つモバイル通信のインフラを組み合わせることで効率的なサービスが展開する。

 回線インフラと接続サービスの分離が進む通信市場のなかで、モバイル通信分野は遅れを取ってきた。これまで日本通信がNTTドコモに対してネットワークの相互接続を求めてきたが、接続条件や料金を巡って交渉が決裂。日本通信が総務省に裁定を求める事態に発展するなどMVNOの立ち上がりは波乱含みだった。今回のイー・モバイルとイー・アクセスの2社およびISPの動きが、新規MVNO事業者参入の呼び水となりそうだ。

(@IT 西村賢)

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