日本IBMと三洋電機が共同で

直接冷やしてサーバの排熱を抑える新型クーラー

2007/10/23

 日本IBMと三洋電機は10月23日、データセンター向けの新型空調設備「IBM Refrigeration Rear Door Heat eXchanger」を発表した。サーバラックの後部ドアに熱交換機を直接取り付けることで排熱を抑え、効率よく冷却を行うもので、導入設置サービスと一体化した形で提供していく。

 日本IBMの執行役員、ITS事業担当の吉崎敏文氏は、「データセンターでは(消費電力増による)炭酸ガスと熱が課題となっている」と指摘した。ブレードサーバなどによってラックへの収容密度が上がることで、この課題はますます深刻化しているという。また三洋電機の専務執行役員コマーシャルグループ長、菅晃氏も「データセンターの電力消費の4割が空調で占められているというデータもある。今後データセンターが増えていけば、これはますます大きな問題になる」とした。

ibm_ref01.jpg 新型クーラーを前にした日本IBM 執行役員 ITS事業担当の吉崎敏文氏(左)と三洋電機 専務執行役員 コマーシャルグループ長、菅晃氏

 現在、多くのデータセンターではサーバルーム全体をエアコンで冷却しているが、この方法では空気の対流やサーバの負荷によって、熱だまりや温度のムラが生じてしまう。

 これに対しIBM Refrigeration Rear Door Heat eXchangerでは、後部ドアに冷媒式の熱交換機を入れ、ラックごとに局所的に冷却することで、サーバから排出される熱をはじめから抑える。しかも、熱交換機はラック内で上下に二分割されており、それぞれがセンサに基づいて室温制御を行う仕組みだ。これと従来からの全体空調を組み合わせることで、局所的なホットスポットの発生を防ぎ、効率的な冷却を可能にする。この結果、サーバからの排熱は最大で50%、消費電力も最大で25%削減可能という。

ibm_ref02.jpg サーマルシミュレーションの結果

 IBMでは2005年に、ラックの後部ドアに熱交換機を搭載する「IBM Rear Door Heat eXchanger」をリリース済みだ。ただしこれは水冷式で、「水を嫌う顧客も多い」(吉崎氏)ことから、三洋電機が開発した新冷媒「R410A」を用いた「enegreen 冷媒式マルチサーバークーラー」を採用した。また室外機も三洋電機製のものを利用している。

 日本IBMでは今後も、各サーバ単位での省電力化に加え、プロビジョニングを通じて省電力を支援するソフトウェアや今回発表したサービスなどを組み合わせ、省エネを推進していきたいという。

 IBM Refrigeration Rear Door Heat eXchangerの価格は、ラック3台の場合で1800万円程度。受注生産方式をとるため、導入までには2カ月半ほどの時間を要する。また対応ラックは「IBMエンタープライズサーバーラック 19インチ42U」のみとなる。なお、遠隔監視アダプタの追加によって、三洋電機が提供する監視システム「サンエスネット」を通じた常時監視サービスも利用可能だ。

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(@IT 高橋睦美)

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