企業IT運用コストの軽減を支援する新戦略を発表
「PC業界のM&Aを検討」、デルCEOが積極姿勢
2007/10/29
米デル会長兼CEOのマイケル・デル(Michael Dell)氏は10月29日、来日して同社の戦略を説明する記者会見に登場。このなかでPC業界の再編に積極的に関わっていくことをにおわせる発言をした。
エイサーによるゲートウェイ買収などのPC業界における統合傾向について聞かれたデル氏は、「PC業界における統合のペースは速まるだろう。規模の大きな企業が有利になってきている。新興諸国におけるビジネスを考えればなおさらだ。過去2年にデルは5社を買収した。どれも比較的小規模な会社だったが、(今後)買収のペースが速まったとしても私は驚かない。最近のPC業界におけるM&Aについては、われわれも検討したが、買収しないという決断をした」と答えた。
デル氏は自身の説明のなかで、今後4年間にインターネット接続ユーザーが現在の10億人から20億人へ倍増するという予測を紹介。最近全世界で進めている小売業者との提携も、従来つかまえ切れていなかった新たな層のユーザーにリーチする施策の一環だとした。製造工場はこれまで中国に2カ所、マレーシアに1カ所だったが、ブラジルとインドの新工場が完成、次はポーランドに建設を予定しているという。
しかし、コンシューマビジネスはデルの売り上げの15%程度にしかすぎない。今回日本で発表した新戦略「ITのシンプル化(Symplify IT)」も、企業ITにおける最大の問題である運用の複雑化と高コスト化に取り組むことを表現したメッセージだ。
「デルは当初、PCのコストを下げることで企業に評価された。しかし、ほとんどの企業にとって、PCのコストは大きな問題ではなくなった。問題はほかのコストにある」(デル氏)。企業IT予算の約7割が運用に費やされており、新規投資は3割に過ぎないという現状をデル氏は指摘、2つの比率を逆転させるためには複雑なITを簡素化しなければならないと訴えた。
デルはこれまで市場に向け、「標準への準拠」や「スケールアウト」をメッセージとして発信してきたが、「ITのシンプル化」はこれらをさらに発展させた同社の哲学/戦略だという。企業におけるITプロセスをエンド・ツー・エンドで標準化、統合化とともに簡素化し、さらに自動化につなげることで、表面上のコストだけでなく、スピードや効率の点でも企業ITを進化させることができるとデル氏は話した。
デルは企業ITのシンプル化度を評価するサービスを同社Webサイトで提供開始。ほかにもシンプルな導入や運用に力点を置いたストレージやサーバ、そして管理サービスを今後投入していく。
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