SNS標準化につながるか

GoogleがSNS向けAPI「OpenSocial」公開

2007/11/01

 米Googleは11月1日(米国時間)に、プログラマーがLinkedIn、Friendsterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けのソーシャルアプリケーションを開発するためのAPI一式を発表する。Googleは正式にソーシャルソフト開発プラットフォーム企業の仲間入りを果たすことになる。

 同社のAPIセット「OpenSocial」は、プログラマーが従来の独自開発モデルと比較して、4億人のSNSユーザーにより確実にリーチできるアプリケーションの開発を支援する、とGoogleのプロダクトマネジャー、ジョー・クラウス氏は10月31日、eWEEKに語った。

 Googleの計画は、Facebookが開発者向けプラットフォームを立ち上げて大成功を収めたことへの対抗策だ。5月24日の立ち上げ以来、Facebookのプラットフォームを基盤として7000のアプリケーションが開発されている。

 Facebookは、開発者がユーザープロファイルを利用して、Facebook上で動作するアプリケーションを構築できるようにしているが、このモデルには制限がある。ほかのSNS向けのソフトを開発するには別のAPIを使わなければならないことだ。

 Googleはこれをさらに進歩させており、開発者は3つのAPIで複数のSNS向けにアプリケーションを書ける。このAPIは、ユーザーのプロファイル、友人の情報、友人に活動情報を知らせる機能にアクセスするためのものだ。

 この「一度覚えれば、どのサービス向けにも作れる」方式では、開発者はOpenSocialに対応したあらゆるWebサイトで動作するアプリケーションを構築できる。

 Google独自のSNS「Orkut」に加えて、LinkedIn、hi5.com、iLike、Friendster、Ningなど十数のパートナーがOpenSocialに参加している。これらサイトを合わせると、ユーザー数は1億人を超える。Facebookのユーザー基盤の約2倍だ。

 「開発者が複数のサイトにアプリケーションを提供する上で本当に便利だ」(クラウス氏)

 Googleはまた、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)企業Salesforce.com、企業向けソフト大手オラクルも、OpenSocial陣営に取り込んだ。大方の専門家にとっては予想外のことだ。

 クラウス氏は、ソーシャルコンピューティングはこれまでコンシューマの間の流行と考えられてきたが、ビジネスも本質はソーシャルな行為であり、関係に基づいて予測されるものだと指摘する。Salesforce.comは、自社の開発者がSalesforce.com向けの「ソーシャル拡張機能」を開発できるようにしたい考えだと同氏はいう。

 開発者は11月1日から、3つのJavaScript APIとGdata APIを使って、ソーシャル機能と開発者向けサンドボックスを利用できる。WebサイトはOpenSocialとサポートフォーラムに対応するためのツールを使える。

 OpenSocialの立ち上げは、GoogleとFacebookの間で燃える炎をさらにあおるものだ。両社は日ごとに真のライバルになっていくように見える。OpenSocial発表の1週間前には、マイクロソフトがFacebookの独占広告プラットフォームとしての契約を拡大すると発表した。また、同社はFacebookの一部株式を2億4000万ドルで取得する。

 IDCのアナリスト、レイチェル・ハップ氏は、Googleは同社と同じく、Facebookに脅威を感じていて、成長継続のために積極的な方法を取らなければならない企業をパートナーにしたと語る。これら企業を合わせると、多数のユーザーと大量のユーザーデータが利用できる。

 「『Googleとその友人たち』のモデルは魅力的だと思う。しかし、新しい活動を可能にしたり、新規ユーザーにリーチできるようになるだろうが、Facebookから市場シェアを奪えるかどうかは分からない。現時点ではゼロサムゲームだとは思わない。市場が急速に伸びているからだ」(同氏)

 OpenSocialはSNS標準の先駆けになるかもしれないとも同氏は語った。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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