IBM Rational Software Development Conference 2007

ソフトウェア開発と日本の国際競争力、日本IBM 最高顧問 北城恪太郎氏

2007/11/06

 日本IBMは11月6日、都内でIBM Rational Software Development Conference 2007を開催した。テーマに「What Keeps me Rational? ソフトウェア開発の『いま』と『これから』が見えてくる」を掲げ、複雑化、大規模化、多拠点化の傾向を辿るソフトウェア開発の困難な現状に対する同社なりの解答を示そうと試みた。

日本IBM写真 日本IBM 最高顧問、社団法人 経済同友会 終身幹事 北城恪太郎氏

 イベントの基調を決める講演を行ったのは日本IBM 最高顧問、社団法人 経済同友会 終身幹事 北城恪太郎氏と、米IBM アジア・パシフィック Rationalソフトウェア ディレクター マイク・ローズ(Michael Rose)氏だ。北城氏が日本経済の全体像とIT、特に開発環境との関係を俯瞰(ふかん)したのを受けて、ローズ氏がIBM Rationalブランド製品の技術的な傾向とイベントの見所を紹介した。

 個別のプログラムは、2007年6月に米国で開催したIBM Rational Software Development Conference 2007の内容を改めてカバーしたもの。分散化傾向が激しい開発拠点間の共同作業の推進をツールによって効率化することが、最近のIBM Rationalブランド製品を貫くコンセプトであり、そのための中心技術として、IBM RationalとIBM Researchの共同開発によるJazzテクノロジが脚光を浴びている。

 北城氏は、イノベーション(技術革新)こそが、日本の高経済成長率を支える原動力になると提言する。イノベーションの定義は「既存のものを凌駕(りょうが)する斬新な新機軸を打ち出して、新たな価値を創造」(北城氏)すること。中国とインドの経済成長性の高さに対し、高い経済成長率が望めそうもない日本が今後、国際競争力を持ち得るためには、イノベーションによって1人あたりの生産性を上げることが求められるとする。

 これらの提言を補強するために北城氏は、中国とインドの経済成長性の高さを示す多角的なデータをいくつも提示した。両国の圧倒的な人口の多さと、成長途上にある国の若者たちの強力な上昇志向は、現在の日本にはない要素である。例えば、日本で情報工学系の学位取得者は毎年2万人ほど(理系の学位取得者だと7万人程度)だが、インドでは50万人、中国では80万人というけた違いの数字などを示した。

 北城氏が指摘するイノベーションは、同カンファレンスにおいては、IBM Rationalブランドを支える最新技術とほぼ同義である。イノベーションを支えるのはITであり、そのITの構築を支援するのがIBM Rationalの製品群である。ローズ氏は、情報システム構築を成功に導くポイントとして、(1)アセットベースの開発、(2)適切な規模の開発プロセス、(3)適切かつ正直な見積もり、(4)動く成果物の漸進的な提示という4つを挙げる。そして、これらのポイントを実現するためには、革新的な技術に支えられたツールが必要であることを示唆した。

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(@IT 谷古宇浩司)

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