クロスプラットフォーム対応の真意
Adobe AIRが備える「Windowsが凋落する日」
2007/11/07
Windowsがシェアトップでなくなる日。米アドビ システムズはこんな未来を想定しているようだ。「Adobe MAX Japan 2007」で来日したアドビのAdobe Flex テクニカル エバンジェリスト テッド・パトリック(Ted Patrick)氏は「OSとソフトウェアは転換期を迎えている。将来はもっと多くのOSが利用されるようになる」と話し、Web技術を活用してデスクトップアプリケーションを稼働させられる統合ランタイムの「AIR」について「どんなOSでもサポートできるのが最大の強みだ」と訴えた。
クライアント環境で最大のシェアを持つのはWindows OS。しかし、MacやLinuxも新製品が登場するたびに高い注目を集めている。特にUbuntu Linuxは現在最も注目を集めるWindows代替OSといえるだろう。従来はクライアントアプリケーションのプラットフォームとしてWindowsを想定して開発すれば、まずは間違いがなかった。しかし、Webアプリケーション、SaaSの環境が一般化することでOSが問われることは少なくなる。「クライアントのOS環境が断片化する」(パトリック氏)可能性がある。
パトリック氏は、OSの断片化を見越してAIRをWindows、Mac、Linuxと複数のOSに対応させたと説明する。「アプリケーションを提供する企業にとってはユーザー環境でクライアントアプリケーションが稼働しないのは望ましくない。AIRの強みは1つのアプリケーションが多くのプラットフォームで動くことだ」。AIRを採用することで企業はユーザーのOS環境を考慮せずにアプリケーションを開発できるようになる。結果として「エンドユーザーの選択肢も広がる」とパトリック氏は見る。
AIRの強みは「互換性」「リッチな表現力」「実装の容易さ」とパトリック氏は説明する。互換性はOSに依存しないことであり、リッチな表現力はFlashやPDF、JavaScriptなどのWeb技術でデスクトップアプリケーションを開発できることを指す。ではエンドユーザーがあまねくAIRのランタイムをインストールするという実装の容易さはどうだろうか。
アドビが考えているのはキラーアプリケーションをAIRで開発し、そのアプリケーションの導入に合わせてAIRの導入も進めるという戦略だ。AIRのランタイムが一度PCに入ってしまえば、その後のAIRアプリケーションの展開がより容易になる。
キラーアプリケーションとしてアドビが想定しているのは動画プレイヤーの「Adobe Media Player」や、買収で手に入れたオンラインワープロ「Buzzword」だ。Adobe Media Playerは当初からAIRで開発、Buzzwordは今後AIR版を開発する計画だ。これらのアプリケーションの人気が高まればAIRの導入率も自然に高まるだろう。パトリック氏によるとアドビ社内でも8つの社内向けアプリケーションをAIRで開発しているという。
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