「ソフトウェア+サービス」戦略を説明
MSバルマーCEO、「10年後、ほとんどの企業データはネット上に」
2007/11/08
マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は11月8日、日本のパートナーイベントで講演し、インターネットとパッケージソフトウェアを組み合わせる「ソフトウェア+サービス」(S+S)のビジネスモデルにパートナーも対応するよう呼びかけた。
講演は従来のビジネスモデルに固執するパートナーに対する“決別宣言”とも取れる内容で、マイクロソフトの姿勢変更が鮮明になった。「10年後にはほとんどの企業でデータやトランザクション、システム管理機能をインターネットクラウドに格納し、リッチPCクライアントやWebブラウザ、携帯電話から利用するようになる」とバルマー氏は説明。「私はその将来を信じている」と言い切った。
まるでグーグル幹部のような発言だが、マイクロソフトがS+S戦略を実現するには複雑なジレンマに対応しないといけない。1つはWebブラウザをクライアントにするSaaSモデルに急激に移行すると、マイクロソフトのパッケージ製品主体のビジネスモデルが崩壊してしまうことだ。そのためマイクロソフトは単なるSaaSではなく既存のパッケージ製品を組み合わせるS+Sを訴えているのだ。

バルマー氏は「競合他社にはすべてがWebブラウザに移行するという声もあるが、私は信じない。むしろ大部分のユーザーは(パッケージ製品による)リッチPCクライアントとWebブラウザ、携帯電話を利用する」と指摘し、S+S戦略の有効性を強調した。1つの例としてクライアントアプリケーションでありながら、Webメールのクライアントになったり、携帯電話と連携したりする「Microsoft Outlook」を紹介した。
もう1つのジレンマはバルマー氏の発言を聞きに集まったパートナーの今後だ。マイクロソフトの売り上げの98%はパートナー経由といい、「パートナー様の協力がマイクロソフトのビジネスの基礎」(代表執行役兼COO 樋口泰行氏)。しかし、S+S戦略を推し進めることは、マイクロソフト製品の再販、導入、カスタマイズ、サポートなどで成り立っているサポート各社のビジネスに大打撃になる可能性がある。
バルマー氏はS+S戦略について「PCとエンタープライズ、インターネットクラウド、携帯電話のよいところを組み合わせてプラットフォームを開発する」と説明し、パートナー各社がそのプラットフォーム上で独自ビジネスを展開可能と語った。「マイクロソフトの製品、サービスを売ってくれた場合、S+Sでもマージンを得られるようにする」という。
さらに「約15年前にはWindowsにTCP/IPスタックを実装するというビジネスを行うパートナーがいた。その後WindowsがTCP/IPに対応したことで、そのパートナーからは『仕事を奪われた』との声が挙がった。しかし、そういう移行は同時にパートナーに対して大きな機会を生んだ面もある。S+Sはパートナーに対して新しい機会を生み出すだろう」と話した。

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