組み込み開発でも人気上昇中
「Eclipse」利用状況に関する最新調査結果
2007/11/09
最近実施されたユーザー調査によれば、Eclipse開発プラットフォームの使用率上昇の背景には、経済的な要因があるという。
Eclipse Foundationとリサーチ会社のIDCが行った調査では、調査対象となったITソリューションプロバイダの75%が、収入を増やす、もしくはコストを節約するといった経済的な理由からEclipseを使用していると回答した。また、収入を増やすためにEclipseを使用している組織の47%が、自社の収入の少なくとも50%をEclipseベース製品から得ていると答えた。
こうした調査結果の概要は、現地で11月7日に開催された「EclipseWorld 2007」カンファレンスの議題となった。Eclipse FoundationおよびIDCが同調査を実施したのは今年の夏で、1000人以上から回答を集めたという。
Eclipseは主に、技術専門家によって仕事関連のプロジェクトに利用されている実態も明らかになった。回答者の91%以上が、組織に雇用されているか、自営業者であり、84%がEclipseを仕事のために使っているという。
回答者の71%は、独立系ソフトウェアベンダやハードウェア会社、システムインテグレータおよびその他のプロバイダなどのITソリューションプロバイダに勤めており、29%はエンドユーザーを相手にした仕事をしていた。
最も使用頻度の高いプロジェクトは「Java Development Tools」プロジェクトで、88%の回答者がこれを使っていると述べた。さらに、56%が「Web Standard Tools」プロジェクトを、44%が「Java Enterprise Edition Standard Tools」プロジェクトを利用しているという。
以下は、「Rich Client Platform」(RCP)の42%、「Eclipse Modeling Framework」の37%、「Mylyn」の36%と続いている。
Eclipseエコシステムにおいて組織が追求しているビジネスモデルも、実にさまざまだ。利益を上げる目的でEclipseを使用している組織の40%は、複数のビジネスモデルを確立しようとしている。そのうちの54%は、Eclipseをアプリケーション開発に使用するビジネスモデルを、 27%はアプリケーションにEclipseを埋め込むビジネスモデルを追求していると回答した。
Eclipse Foundationの執行ディレクターであるマイク・ミリンコビッチ氏は、「Eclipseは開発者による開発者のための開発プラットフォームであり、そのツールは開発のあり方に変革を起こしている」と述べている。
ボーランド・ソフトウェア傘下のコードギアで、デベロッパーリレーションズ副社長を務めるデイビッド・インターシモン氏は、Eclipseは「ベンダーによるベンダーのためのもの」でもあると話し、ボーランドとコードギアはいずれもEclipseへのコード提供に参加しており、Eclipse上で動作するツールの開発に同プラットフォームを使用していることに言及した。「われわれは、Eclipseに対応した『JBuilder 2007』を開発している」(インターシモン氏)
同調査によると、Eclipseはクロスプラットフォーム開発および展開においても活用されているという。Eclipseをベースに開発されたソフトウェアに関して、ユーザーが運用している開発プラットフォームは平均2.1種類、展開プラットフォームは平均2.7種類に及ぶことが分かっている。 74%が利用していると回答したWindowsが最も人気のある開発プラットフォームであり、その次がLinuxの20%だった。一方、Linuxを一次的な展開プラットフォームとして用いているユーザーは37%で、Windowsの47%とそれほど差は開かなかった。回答者の72%がサーバソフトウェアを開発している事実を考慮するに、この数字からは、Linuxがサーバオペレーティングシステムとして強い立場にいることが読み取れると、EclipseおよびIDCは指摘している。
デスクトップおよびRCPアプリケーションの開発を手がけている回答者は約40%に達しているが、これはデスクトップアプリケーション分野でEclipseが多用されている現状を示唆している。
Eclipseの新規ユーザーは、エンベデッドおよびモバイル分野のプロジェクトを好んで使っているようだ。使用歴が1年以内のユーザーでは、 29%がエンベデッドソフトウェアを、また17%がモバイルクライアントアプリケーションを開発していると答えた。同プラットフォームの使用歴が3年を超えるEclipse開発者においては、この割合はそれぞれ12%、8%となっている。
(eWEEK Darryl K. Taft)
Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.
情報をお寄せください:
最新記事
アイティメディアの提供サービス
キャリアアップ
- - PR -
転職/派遣情報を探す
「ITmedia マーケティング」新着記事
TikTokが米国で20時間のサービス停止を経て復活 “英雄”トランプ氏が描く今後のシナリオと他国への影響は?
TikTokは米国で約20時間のサービス停止を経て、再び利用可能になった。
CMOが生き残るための鍵は「生産性」――2025年のマーケティング予測10選【中編】
不確実性が高まる中でもマーケターは生産性を高め、成果を出す必要がある。「Marketing D...
世界のモバイルアプリ市場はこう変わる 2025年における5つの予測
生成AIをはじめとする技術革新やプライバシー保護の潮流はモバイルアプリ市場に大きな変...