コンテナ1箱で最大3PBのディスク容量も

運べるデータセンター「Project Blackbox」が日本上陸

2007/11/12

 2006年10月に公表されたサン・マイクロシステムズの「プロジェクト・ブラックボックス」(Project Blackbox)のコンテナが11月12日、東京都内で公開された。プロジェクト・ブラックボックスは、15平方メートルの床面積に8本の19インチラックを装備する高密度の移動可能なデータセンター。ISO標準規格サイズの20フィート・コンテナを使用しているため、トレーラー、航空機、列車、船で移動ができる。「初期導入にかかる期間は10分の1程度」(システムズ・ビジネス統括本部 主幹部長 馬場肇氏)と新規導入が容易。また処理能力ニーズの増加に合わせた増設が行えるモジュール性の高さもウリという。新たに建物を用意してデータセンターを設置・増設する場合、電力やスペースなどを実際の需要より多く用意することになるため、過剰投資が避けられない。

box01.jpg 最大320ラックユニット分の機材を収容できるコンテナ型のデータセンター「プロジェクト・ブラックボックス」。冷却用の水、電源、ネットワークのケーブルさえあれば使える
box02.jpg 実際の運用時には水冷用の冷却モジュール、通称“チラー”や発電機をセットにして設置することになるという

国内でも約10社から引き合い

box03.jpg サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 末次朝彦氏

 現在早期導入プログラムで稼働中のプロジェクト・ブラックボックスは、サン自身を含めて米国で2個所、ロシアで1個所。日本での正式発表と販売は「2008年の早い時期」(代表取締役社長 末次朝彦氏)を予定している。内部のサーバやネットワーク機器を含まない1台当たりの価格は「正式には未定だが、ざっくり言って1億円よりは安い」(馬場氏)という。現在、国内では10社程度から引き合いが来ており、既存のサービスプロバイダや、これまでデータセンター設置に二の足を踏んでいた業種で、新たにデータセンターを設置するようなケースでニーズが強いという。「2〜3年で数十台規模で販売できる」(末次氏)。

 サンが想定しているターゲットとしては、既存のデータセンターの拡張や災害時のディザスタリカバリー用途のほか、急成長するASP事業者や、石油やガスの採掘現場などもあるという。

 内部に収容する機材によって処理能力やストレージ容量を重視した構成が選べる。サンの製品を用いて、スーパーコンピュータランキング「Top500」に相当する4.5TFlopsの高い計算処理能力や、最大で3PB(ペタバイト)のディスク容量などが実現できるという。また、19インチラックの規格に合うものであれば他社製の機材も使える。

 一定温度に上がるまで冷却用の水をラック間で循環させる独自の冷却技術を採用。冷却効率が高く、ラック当たりの電源容量は25kWと一般的なデータセンターの6kWと比べて余裕があるのも特徴だという。冷却コストは4割程度下げられ、電力コストを5年間で約24万ドル(2700万円)抑えられる計算だという。

box04.jpg プロジェクト・ブラックボックスの内部。ラックはスライド式で中央の通路からメンテナンスできる
box05.jpg ラックの下にはコイルが設置されており、垂直方向は最大9Gまでの衝撃に耐えるという

(@IT 西村賢)

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