印SI大手タタグループが日本向け組み込み事業を拡大
日本は組み込みエンジニアが7万〜9万人不足している
2007/11/12
タタコンサルタンシーサービシズジャパン(TCS)は11月12日、日本向けオフショア開発専用のラボを開設するなど、日本における組み込みシステム事業を拡大すると発表した。今後3年間で、3000〜4000人の日本語のできる組み込み開発者を育成していくという。
TCSはインドの最大財閥TATAグループの一企業で1968年創業。1987年に日本へ進出して以来、20年にわたりシステム開発を手掛けてきた。世界50カ国で事業を展開し、40カ国155個所に事業所を展開。2007年度の売り上げは43億ドル、社員数10万人以上を誇る巨大企業だ。日本では87年の創業以来、製造業や保険業、SAPへのサービスを中心にサービスを提供してきたが、今回新たにインド・プネに1000万ドルを投じて日本向け組み込みシステム専門の研究用のラボを建設。さらに横浜にも組み込みシステムのための中核的な研究拠点を開設するとした。
印タタコンサルタンシーサービシズ バイスプレジデント エンジニアリング・産業サービスビジネスユニット グローバルヘッド レグー・アヤスワミー(Regu Ayyaswamy)氏は、「日本の組み込み市場は、今後年率12〜15%の勢いで拡大していくだろう。しかし、現在日本の組み込みエンジニアは7万〜9万人不足しているといわれ、オフショア活用率も50%にまで伸びてきた有望市場だ。携帯電話では新技術の導入が差別化ポイントになっており、いまや200万行にコード量が増えている。特に自動車市場のハイブリッド制御分野などは魅力的であり、注力していきたい」とコメント。実際には、製造工場向けソフトウェア開発や、新製品開発援助などを行っていきたいという。
プネと横浜のラボでは、日本の組み込み市場専任のエンジニアや研究者が100名体制でサポートを開始。今後3年間で3000〜4000名を日本の組み込み市場向けエンジニアとして育成していく方針だ。さらに、インド国内においていくつかの大学や企業と提携し、日本語を話せるエンジニア層の拡大を目指す。タタコンサルタンシーサービシズジャパン 代表取締役社長 梶正彦氏は、日本での展開について「日本で組み込みのオフショアサービスを提供するためには、日本独自の要件を聞いて実行できなければならない。そのため、日本の組み込みシステム向けにカスタマイズした“日本デリバリーフレームワーク”を導入し、日本独自の風習などにも対応していく」と説明した。
日本では特に、「自動車産業」「家電」「通信」「オフィスオートメーション」の4分野に注力していく。アヤスワミー氏は、「すでに日本の最大手自動車メーカーなどにもシステムを導入し、満足していただいている。当社は納期を98%守り、96%が正常動作するなど、組み込みオフショア開発で高い実績を保っている。商品開発期間がますます短くなっている昨今では、自動車エンジニアの不足は深刻な問題だ。日本の組み込み市場には大きな期待を抱いている」とアピールした。
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