日本や韓国に重点
インテル、WiMAX推進の方針は不変
2007/11/12
スプリント・ネクステルとクリアワイヤが全米規模のWiMAXネットワークを共同で構築する計画は白紙になったが、インテルではWiMAX技術を自社のチップに組み込む計画を引き続き推進する考えだ。
スプリント・ネクステルとクリアワイヤは7月の段階では、両社のWiMAXネットワークを接続し、来年末までに1億人にサービスを提供する計画だとしていた。両社では、9月半ばをめどに計画の詳細を詰める予定だった。また、スプリントの幹部は今月初め、交渉は継続中だと語っていた。計画を白紙に戻すことが決まったというニュースが飛び込んだのは11月9日のことだった。
インテルの広報担当者によると、スプリントとクリアワイヤの決定に失望したとしながらも、同社では、このワイヤレス技術を自社のマイクロプロセッサおよびハードウェアプラットフォームに組み込む計画を引き続き推進する方針だという。
インテルの広報担当者は11月9日、米eWEEKの取材に対して、「当社の計画に変更はなく、WiMAXを当社のチップに組み込むという取り組みにも変更はない。われわれは今後も、両社との緊密な連携を継続するつもりだ」と語った。
インテルは数年前から、WiMAXがWi-Fiに代わる技術になるという信念に基づいて同技術への投資を続けてきた。さらにインテルは、クリアワイヤがWiMAXネットワークを構築し、新技術に投資するのを支援するために同社に多額の資金を提供している。
スプリント・ネクステルとクリアワイヤが米国でWiMAXネットワークを共同で構築するという提携を7月に発表したことで、WiMAXに投資している インテルやサムスン、モトローラなどの企業にとって、同技術が3Gに対抗する可能性が現実味を帯びてきたかに思えた。エンドポイント・テクノロジーズ・アソシエイツのアナリスト、ロジャー・ケイ氏によると、クリアワイヤとスプリントの交渉決裂は、WiMAX技術推進に向けたインテルの取り組みにとって打撃となるものだという。
「今後の展開としては、インテルは今回の提携話に代わるものとして、ほかの提携を模索することが予想される」とケイ氏は話す。「同社は今後も単独で、スプリントおよびクリアワイヤと個別に提携を続けるだろう。WiMAXはインテルのロードマップの一部であることは間違いないが、導入にはもう少し時間がかかりそうな状況になってきたようだ」。
WiMAXはIEEE 802.16標準をベースとするブロードバンド技術であり、ポイント・ツー・ポイントリンクを含めさまざまな手段を通じて長距離間でデータを転送することを可能にする。
9月に行われた「2007 インテル Developer Forum」において、同社幹部はノートPCやMID(モバイルインターネットデバイス)など各種のモバイルデバイス向けのチップおよびプラットフォームを開発するという計画の説明に多くの時間を費やした。インテルは2008年に「Montevina」と呼ばれる新しいモバイルプラットフォームを発表する予定だ。同プラットフォームはWiMAXとWi-Fiをサポートし、45ナノメートルプロセスで生産される新しい「Penryn」プロセッサファミリーを採用する。
インテルでは、Montevinaプラットフォームを2008年にリリースするという方針に基づき、今年末にかけて各種のネットワークでWiMAX技術のテストを行う予定だ。その1つが、オレゴン州ヒルズボロにあるクリアワイヤのWiMAXネットワークを使ったテストである。
ケイ氏によると、インテルは今後、韓国や日本などの国々にフォーカスするようになるという。これらの国々はすでにインフラが整備されており、最先端の新技術に対してオープンであるからだ。
ガートナーのアナリスト、フィリップ・レッドマン氏によると、インテルやモトローラ、サムスンなどの企業は今後もWiMAX技術のテストと改良を続けるとみられるが、クリアワイヤとスプリントの提携がご破算になったことで、米国でのWiMAXの普及が遅れる見通しだ。 PCベンダ各社が自社製品にWiMAX機能を追加する計画を見直す可能性もあるという。
「インテルがWiMAX搭載チップを生産しても、OEMパートナー各社は自社の計画にとってWiMAXが重要になるまで同技術をマザーボードに搭載しないかもしれない」とレッドマン氏は話す。
インテルの広報担当者によると、レノボ、パナソニック、東芝、エイサーなど数社が新しいモバイルプラットフォームの採用を既に約束しており、各社ともWiMAX技術をサポートする予定だという。
(eWEEK Scott Ferguson)
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