当初からROIを根本に据えるべき
ビジネスサービス管理の失敗を防げ、米BMC
2007/11/14
米BMCソフトウェアで2002年から「Business Service Management」(BSM)というコンセプトの普及を図ってきた同社 CEO室付筆頭副社長 チャック・スターン(Chuck Stern)氏は、ITILバージョン3にこの言葉が登場するなど、ようやくこの考え方が広がりつつあるという。同氏はBSMを、「ITやITサービス管理を主要なビジネスプロセスと結び付け、ITをビジネスの一部とするべく活動していくこと」と定義する。BSMはBMCにとって、同社の製品・サービス戦略の根本であり、事業の中核であるという。
スターン氏にBSMのあるべき姿、そしてBMCの企業戦略との関係を聞いた。
――ITILではバージョン3が出ました。これによりBSMの考え方がさらに認知されるといえるのでしょうか?
スターン氏 BSMにはさまざまな側面があり、企業がBSMに移行する道筋もさまざまです。しかしITILはITの安定運用へ導く明確なプロセスやメソッドを提供しているという点で、BSMに直接関係しているといえます。ITプロセスの成熟という観点から、これは欠かせません。企業調査会社のフォレスターリサーチも説明していますが(編集部注:フォレスターリサーチはBSMを説明した独立レポートを発行している)、企業は運用管理に関する成熟カーブをたどる過程で、まず基本的なITILサービスを導入し、資産管理で自社の環境に何があるかを確認することから始めます。これは非常に重要な過程で、ITILの実装はBSMに興味を持つ企業を強力に助けるでしょう。ITILバージョン3のドキュメントでは、BSMという言葉を明記しています。ITILを使ってサービス意識を高めながら管理していくと、結果としてBSMにたどり着くということを示しているのです。ITILはBSMのツールになるわけではませんが、メソドロジーあるいはガイドとして利用できます。
――ITILでもそうですが、BSMの取り組みには時間やコストが掛かります。こうしたプロジェクトのROIを気にする経営陣とはどう折り合いをつけられると思いますか?
スターン氏 その点は以前から認識しており、当社では段階的なアプローチを提唱しています。企業によって当初のIT成熟度や、目標とする到達点は異なります。BSMは一度にすべてを行うものではなく、1つの道のりです。当社ではBSMを5年前に提唱し始めましたが、その時点から構成管理データベースやレポーティング機能を共通化し、ほとんどの管理製品に組み込んでいます。例えばIT資産管理だけを始めたければ、IT資産管理製品だけを導入した状態でもこれらの共通機能を活用できます。重要なことは、別々に製品を導入しても、一度に導入してもいいようなアーキテクチャを持っているということです。
――IT運用管理とビジネス目的の融合というのは、実際には非常に難しい問題だと思います。どうすれば実現できると考えていますか?
スターン氏 企業における事業のトップもITのトップも、ITが最終的にはビジネスを支えるものでなければならないということに気付いているはずです。当社でできることは、統合されたITサービス管理製品群を提供し、非常に複雑なインフラの管理を自動化し、コストを削減し、ビジネスのために安定したIT環境を提供できるようにすることです。また、BMCは顧客におけるプロジェクトに際し、まずビジョンを確立してもらい、これに基づいてROIを意識してもらい、そのROIを実現する活動をしてもらうというやり方をしています。ITILで挫折してしまう原因の1つは、これを一般的な改善活動として位置付けてしまうことにあります。まず、何を実現したいのかを社内で議論してもらい、ITサービス管理でできること、そしてROIをはっきりとさせることが重要です。
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