検証センター設立で相互連携を一層強化
MIJS、標準規格の第1弾を発表へ
2007/11/19
業界団体MIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアムは11月19日、「MIJSバーチャル検証センター」を開設すると発表した。検証センターではサーバが十数台稼働し、MIJS16社のパッケージをインストールした状態でリモートアクセスして作業ができる。
MIJSは国産ソフトウェアベンダ24社が集まり相互連携の推進を目的として2006年8月に設立。11月29日に行われる第2回MIJSカンファレンスではデータベースやトランザクションの標準規格を使ったデモンストレーションを行う予定だ。
経済産業省の調査によれば2005年時点で国内のソフトウェア市場で受託開発とパッケージソフトの市場規模は8対2程度。米国では受託開発は35%程度にとどまり、パッケージソフトが市場をドライブしている。また国内市場における外資系企業のソフトウェア製品のシェアは大きく、日本のソフトウェア市場は完全な輸入超過。日本では「パッケージがあまりに産業として成り立っていない」(ウイングアーク テクノロジーズ代表取締役社長でMIJSコンソーシアム副理事長の内野弘幸氏)状況だ。
顧客企業から個別のパッケージへの評価は悪くない。「日本企業のソフトウェアは日本の文化に適合していて評判はいい。ただ、会計や人事、販売などのパッケージ間で横につながりがない。マスターデータが統一できず、入力や管理が煩雑だと顧客にいつも言われていた」(内野氏)。
こうした問題意識から、MIJSでは「トランザクション連携」「マスタ連携」「共通機能SOA連携」の3つを軸に各社製品の相互連携を推進する。各製品側で標準規格に対してアダプタを用意すれば、これまで相互運用のためにSI事業者に個別対応を依頼する必要があったアプリケーションを顧客企業は連携させて利用できる。従来、こうした連携は、企業間取引用として製品データ、受発注データが業界VANや外部EDIでやり取りされていたが、MIJSではそうした“企業間”の連携ではなく、“企業内”の連携を進めるのが特徴だ。
顧客企業のITシステムでマルチベンダ化が進んだことも背景にある。「EC、SFA、グループウェア、会計など、複数ベンダのパッケージを使う時代になってきている」(システムインテグレータ 代表取締役社長でMIJS技術部会 部会長の梅田弘之氏)。組織内のITシステムは、特定の1社が関連パッケージをすべて“スィート製品”として提供するモノリシックな構成から、SOAをベースに複数ベンダのパッケージを組み合わせる疎結合へと時代が変遷している。
11月末の「第1段階」の標準化の成果として、「仕訳データ、製造依頼データ、製造実績データ」のトランザクション連携、「社員データ、部門データ」のマスターデータ連携に関する標準規格をダウンロード可能な形で発表する。「アダプタさえ用意すれば、誰でもMIJSに参加できる」(梅田氏)。
これまで各製品が個別に用意してきた横断的機能についても共通インフラ化を進める。ログ、ジョブ、ワークフローの管理、帳票出力や分析機能など、共通モジュールとしてソフトウェア外部に出し、SOAでバスに接続する構成としていく考えだ。共通インフラにすることで連携がやりやすく、顧客企業にとっては必要なライセンス数も少なくて済む。MIJS参加企業の約半数は、こうした共通インフラ部を手がけているという。「実際に製品が連携して動く。絵に描いた餅にならないのがMIJSの強み」(梅田氏)
今後はSaaSへの移行も視野に入れ、SaaSポータルサイトへの議論もスタートした。ユーザー企業はシングルサインオンで好きなソフトウェアを選択して利用できるようにする。「楽天がB2Cのポータルサイトであるように、MIJSはB2Bのポータルサイト。競合製品があってもいい」(梅田氏)という。SaaSポータルの構築・運営をにらんで、IBMやオラクル、マイクロソフトなどOS、ミドルウェアベンダが賛助会員として参加するほか、通信系ではNTTコミュニケーションズも参加している。
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