開発効率化がベンダのビジネスを破壊
IPA SECが3年間の成果――人月モデルをどう超える?
2007/11/20
情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)が10月1日、3周年を迎えた。エンタープライズ系と組み込み系のソフトウェアを効率的に開発する手法の確立を目指し、3年間で3つのツールと多数のガイドブックを発刊。11月20日に会見したSEC 所長の鶴保征城氏は「グローバルなポジションを確保することを考える企業は、(SECの成果であるような)ツールやガイドブックを使わないといけないという共通認識が広がってきた」と話し、今後の3年間はツールやガイドブックの開発現場への導入、普及に力を入れると説明した。
SECはエンタープライズ系ソフトウェアの開発力強化を目指し、合計1774件の開発事例データを収集し、分析。定量データをまとめて「ソフトウェア開発データ白書2007」を発刊した。さらにこのデータを基に、自社のプロジェクトが置かれている相対的な状況やレベルを把握できる診断ツールを開発。2008年1月に公開する。また、ソフトウェアの開発プロジェクトのプロセスを可視化する「EPMツール」を開発。32社が検証するほか、NTTソフトウェアは全社で利用している。
組み込み系ソフトウェアでは「組込みスキル標準」(ETSS)を策定。コーディングの作法ガイドや、同ガイドに基づくテストツール、組み込み開発向けのプロジェクトマネジメントガイドなどを発表した。
IPA 理事長の藤原武平太氏は「数を誇るつもりはない」としながらも3年間でガイドブックなど23種を発刊し、18万4000冊を発行したことを成果として強調した。SEC 所長の鶴保氏は今後の3年間はこれらの成果を開発現場に普及させると説明。ただ、「ベンダのビジネスモデルは人月。安く、速くいいものができるのはビジネスモデル的になかなか難しい」と指摘。そのため「ユーザー企業は成果を積極的に導入したいという機運が出てきている」ことから、「ユーザー企業が躊躇するベンダの背中を押す構図になる」と話した。
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