日本企業とグローバルなリーディング企業の違い
ガートナーが提言「CIO経験者をCEOに」
2007/11/21
ガートナー ジャパンは11月20日、28日から開催される「Gartner SYMPOSIUM ITxpo 2007」を前に、日本のIT業界/部門とその利用者である企業ユーザーの状況について説明した。
「日本のITベンダの中でグローバルにビジネスを展開しているところはどれだけあるだろうか? あちこちの国で生産を行っている自動車業界と比べると、ITはまだそこまでいっていない。むしろ、グローバルに見ると『日本にIT産業はあるの?』と言われかねない」(ガートナージャパンのリサーチ バイス プレジデントの松原榮一氏)
グローバルに見ると、「テクノロジがビジネスのパワーになる」と認識し、ビジネス環境の劇的な変化に合わせて成長を目指すリーディング企業が登場し、日本市場にも攻め込んできている。これに対し、日本企業が取り残される恐れがあると松原氏は指摘した。
同社は5月に「国別IT投資マインド・ランキング」を公表しているが、この結果、日本のIT投資マインドは全21カ国中最下位、それもダントツの最下位となった。だが、IT投資と経常利益との間には一定の相関関係が見られるという。「会社の経営がしっかりしている企業は、ITについてもしっかりマネジメントしていることの証だろう。ITをしっかり使っている企業とそうでない企業との間で、差はどんどん開いていると考えている」(松原氏)
同じくガートナー ジャパンのリサーチ バイス プレジデントを務める亦賀忠明氏は、多くのITベンダと話をしてきたが、多くの場合「グローバルに何が起こっているのかが見えておらず、そのため何をすればいいのか、何をすべきなのかが分からない。その結果、彼らのユーザーである企業も何が起こっているのかが分からない。まずは外を見ることが必要だ」と指摘した。
ITバブルがはじけた後も、ハードウェアの性能向上をはじめ、テクノロジ革新のスピードは衰えていないという。しかし「ハードウェアの性能が向上すると、日本の場合は『これでコストが下がるはずだ、じゃあもっと安くしてくれ』となる。これに対しGoogleなどの企業はそれをチャンスと見て、うまく使って地球を取りに行こうと考える」(亦賀氏)つまり、一国単位で見るかそれともグローバルに見るかというスケールの違いがあるという。
亦賀氏は、テクノロジの前進は2010年頃まで継続すると予測する。そして、「新しい新しいテクノロジによって、想像を絶する新たな基盤が生まれ、それに基づいて新しいサービスが提供されるようになる。そして、そうしたサービスを活用して新しい価値が生み出されるという動きがグローバルな規模で起こるだろう」と述べた。
こうした動きに日本の企業が取り残されずについて行くにはどうしたらいいのか。
松原氏はまず、「CIOをCEOにしよう。CIO経験者がCEOとなっている企業は、調子がけっこういい。テクノロジを知っている人がトップについている企業とそうでない企業とでは差が出る」と述べる。ほかにも、自社のシステムと競争相手のシステムをよく把握し、新たなテクノロジが自社にどういった影響を与えるかを理解すること、そして、自社の経営戦略の中にテクノロジの影響を盛り込み、そのためにも自社のアプリケーションやIT基盤のロードマップを作成することなどを挙げている。
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