BCPに関するアンケート調査の結果発表
BCPを策定しても、いまのままでは「絵に描いた餅」で終わる?
2007/11/22
野村総合研究所(NRI)は11月22日、東証一部、二部上場企業を中心とする3000社を対象に行ったBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)に関するアンケート調査の結果を発表した。
BCPを策定済み・策定中の企業は全体の6割を超えたが、重要業務の絞り込み、事業復旧時間の設定、事業停止時間の評価についてすべてを実施している企業は13.6%にとどまったことが明らかとなった。
BCPのポイントは、リスク発生時の被害が避けられない場合に、限られたリソースを「何に」優先的に投入するか、また、業務停止が避けられない場合、「何時間以内」に復旧させるべきかといった具体的な実現戦略の策定にある。日本での主な対象リスクとして想定されるのは地震であり、BCPを策定済み・策定中の企業においては、「主要なシステム・生産設備の防災対策を行っている」としたのが81.8%、「重要データのバックアップを実施している」としたのは88.2%だった。NRIでは、日本企業にとって「BCPとはハード設備のバックアップ戦略である」との認識が先行していると分析している。
しかし、ハード面での対策の進捗(しんちょく)と比較して、ソフト対策(人員)に関する戦略検討は遅れており、また、他企業との連携を踏まえたBCPの策定面や、訓練の実施についても対応はあまり進んでいないという結果が出た。これらの結果からNRIは、現時点では「BCPを策定したものの、『絵に描いた餅』に終わりかねない状況にある」と警鐘を鳴らす。
NRIは、BCPを策定する際のフレームワークを用意している。「事業継続の目標設定」(優先すべき顧客、サービス、業務の決定、業務復旧目標の決定)と「被災シナリオ評価」(想定リスクの設定、自社の重要リソースの被災評価、リスク発生時の復旧予測)を決め、これらの目標と現状のギャップを洗い出して初めて、費用対効果を踏まえた最適な投資戦略の策定が行えるというもの。また、企業の重要リソースを「ノード」「リンク」「ヒト、モノ、カネ、情報」の3つの枠組みで捉え、対象リスクに対して、どの程度守られているかを具体的に評価することを推奨する。
事業継続という最終目標を考えた場合、1社だけが対応していてもその目標が達成されることは難しい。製造業の場合は特にサプライチェーンのどこかの“歯車”が切れると、サプライチェーン全体に影響を与えることになる。つまり、「事業継続には取引先との協力体制が不可欠」だとNRIは言う。実際、同社は2004年の中越地震を契機にBCPを作成した6社の事業所からヒアリングをし、得られた教訓して、サプライチェーンの中での事業継続の想定の重要性を指摘、さらにその課題として、冗長性とコストのバランスが必要とした。
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