すでに安定しています
MSのお願い――「Vistaのサービスパックを待たないで」
2007/11/27
「Windows VistaのSP(サービスパック)を待っていただかなくても結構です」。マイクロソフトのWindows本部 プロダクトマネジメント部の部長 中川哲氏は11月27日、こう述べてすでにWindows Vistaが安定していることを強調した。企業ユーザーの間ではSP適用後のVistaを「安定版」と考え、SP公開まで導入の本格化を見合わせる例が目立ってきた。マイクロソフトは提供開始初年度にVistaをスタートダッシュさせるためにも、SP適用前のVistaでも十分に安定していることを訴えている。
SPはマイクロソフトが期限を定めて開発する更新プログラムの集合体。期間中のセキュリティ修正プログラムや機能を向上させる更新プログラムで構成する。VistaのSP1は現在、RC1をプレビュー中で、12月上旬にRC1を限定ユーザーに提供。正式リリースは2008年第1四半期(1−3月期)の後半を計画している。
SP1はこれまでの更新プログラムの集合体のため、マイクロソフトは「SP1の安定性、信頼性、互換性、パフォーマンス向上の機能の一部を現段階でも更新プログラムで提供している」(中川氏)という。その更新プログラムとは8月と10月に提供した「Windows Vista Performance&Reliability Pack」。特に安定性、信頼性、互換性、パフォーマンス向上に影響を与えるのは10月提供の「KB941649」で、主に休止状態からの復帰時間の短縮と、バッテリ寿命の向上を行った。
復帰時間の短縮では、メモリを先読みすることでアプリケーションの動作を高速化する「SuperFetch」機能をチューニングした。Vistaの休止状態はメモリ上のデータをHDDに格納し、復帰時にはこのHDDデータをメモリに書き出すことで高速な立ち上げを実現する。しかし、復帰時には同時にSuperFetchのメモリ最適化の機能がCPUリソースの大部分を使用。このためメモリへの書き出しに使用するCPUリソースが不足し、復帰が遅れるケースがあった。
更新プログラムでは復帰時、SuperFetchのメモリ最適化のタイミングを遅らせるように調整した。マイクロソフトの調査ではこのチューニングによって「復帰が3.4%、平均0.8秒速くなった」(同部 プロダクトマネージャ 原田英典氏)という。
バッテリ寿命の向上は、HDD回転数の管理強化で実現した。断続的なHDDアクセスがある場合でも、なるべくアプリケーションへの影響を与えずにHDDの回転数を少なくするようにした。また、これまではHDDアクセスが多い場合、アクセスがなくなってから回転数を落とすまで長い時間を取っていた。今回のチューニングではこの時間を短縮。マイクロソフトによると、全体としてバッテリ寿命が35%伸びるという。
さらにKB941649ではVistaの起動を速くした。起動時には複数のサービスが同時に稼働するが、同時に起動できるサービスの組み合わせを増やし、マルチプロセスの処理を効率化した。
中川氏は「10年前に担当したExchange Serverではアップデート機能がなく、皆さんがSPを心待ちにしていた。しかし、いまはアップデートの仕組みがあり、SPというマイルストーンを待つことなく、更新プログラムを適用してもらえる」と話した。
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