災害対策は企業リスク管理の一部

サイベース、データのビジネス的意味合いを保てる災害対策製品

2007/11/29

 サイベースは11月29日、災害やシステム障害によってデータベースが停止しても、待機系システムにログを転送することで業務継続を支援する「Mirror Activator」と「ディザスタ・リカバリ・パッケージ」を発表した。同社のデータベース管理システム「Sybase Adaptive Server Enterprise」(ASE)のユーザー向けに販売していく。

 同社マーケティング本部本部長の富樫明氏によると、これまで企業は、災害などが発生したときでも自社の損害を最小化することを考えていればよかったが、今後は、自社だけでなく顧客や取引先などに迷惑をかけることを考え、それに備えなければならないという。「災害対策は、企業のリスク管理の重要な一部を成すものだ」(同氏)

 Mirror Activatorとディザスタ・リカバリ・パッケージはいずれも、データベースの一貫性を保持しながら、その運用を継続させるソフトウェア製品だ。データベースそのものを複製する代わりに、ログデータを転送し、トランザクションからSQLクエリを順番通りに再現することで本番系データベースと同じ状態を再現する「非同期トランザクション転送方式」を採用していることが特徴だ。

 ディザスタ・リカバリ・パッケージは、RTO(Recovery Time Objective:復旧までに要する時間)が60分未満、RPO(Recovery Point Objective:データ損失)が2分未満程度のシステムを想定した災害対策製品だ。ソフトウェア機能のみの実装で、ストレージ製品側の要件は不要なため容易に導入できること、更新差分のみの転送で済むため帯域がそれほど広くなくても利用できることがメリットという。価格は、1CPU当たり389万9000円から。

 一方Mirror Activatorは、RTOは2分未満、RPOはゼロといった、非常に高い水準での復旧が求められる金融システムなどを想定した製品だ。サードパーティ製のストレージ製品が備える遠隔コピー機能と非同期トランザクション転送を組み合わせることで、迅速な復旧を可能にするという。EMC(SRDF/S)やIBM(PPRC)、日立製作所(TrueCopy)などに対応しており、価格は1CPU当たり1462万2500円だ。

sybase01.jpg サイベース セールスエンジニアリング部部長 花木敏久氏

 「ストレージベンダが提供するコピー機能によっても、データの保護自体は可能だ。しかし、ログを見ながら、どのトランザクションとどのトランザクションが関連しているかといったビジネス的な意味を保ちながら複数の更新を行うには、こうしたレベルでの保護が必要だ」(サイベースのセールスエンジニアリング部部長、花木敏久氏)

 同社ではこれらの製品に加え、ソフトウェアレベルでトランザクションの振り分けを行う「OpenSwitch」も同時に提供していく。

 「災害対策は、人やプロセスなどさまざまな要素から構成されており、サイベースだけで実現できるものではないが、Sybase ASEのユーザーに対してしっかりとしたDRソリューションを提供していきたい」と富樫氏は述べている。

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(@IT 高橋睦美)

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