開発プロセスも一部公開
NTTデータが独自の開発フレームワークをオープンソース化
2007/11/29
NTTデータは11月29日、同社独自の開発プロセスの手順書の概要を公開し、同時に開発フレームワークをオープンソース化すると発表した。
NTTデータではシステム開発のノウハウを「TERASOLUNA」(テラソルナ)と命名して体系化している。開発フレームワークとプロジェクト管理、開発プロセスの3つのレベルで構成されている。このうち、SourceForge.jp上で開発フレームワークと関連ドキュメント(説明書など)をオープンソース化して公開し、開発プロセスの概要が書かれた「Work Breakdown Structure」(WBS)をポケットブックの形式で配布する。プロジェクト管理の手順や開発プロセスの詳細、および開発支援ツールについては、従来どおり非公開のまま。
公開するフレームワークは、「TERASOLUNA Server Framework for Java」(Web版、Rich版)「TERASOLUNA Batch Framework for」など7つ。基本的には、Apache License 2.0で配布するが、「TERASOLUNA Server Framework for .NET」と「TERASOLUNA Client Framework for .NET」のライセンス形態は未定(現在調整中)である。開発プロセスのWBSについてもライセンス形態は未定。
開発ノウハウの一部を公開し、広く開発者の利用を促進することで、エンタープライズシステム開発における「業界の標準化」を目指すと同時に、「TERASOLUNA」に関連したシステム構築事業や教育、サポート事業の機会拡大を見込む。
同社ではすでにいくつかの開発ツールやフレームワークをオープンソース化している。AJAXベースのリッチクライアントを開発するためのフレームワーク「マスカット」や運用管理ツール「Hinemos」などがそれにあたる。2007年度中に、同社が提供するオープンソースプロダクトを集めたポータルサイトを公開する予定。
同社が開発ノウハウやツールの公開およびオープンソース化に傾注する背景には、市場環境の変化が挙げられる。個別システムでの品質・生産性向上を目指す部分最適のニーズから、企業全体のシステムの品質・生産性向上を目指す全体最適のニーズが増えてきたと同社では説明する。一方で、個別ベンダのロックインを敬遠する企業が増えてきた。官公庁を中心に、オープンソースであることが入札の条件となる状況も一般的になりつつある。
統一化したアプリケーション開発基盤や開発プロセスは、各SIベンダが有しているが、本来、自社の生産性向上のために開発したものであり、また差別化の要因でもある独自のノウハウの集積ともいえるため、非公開であることが一般的だった。NTTデータは、限定的ながらも、独自資産のオープンソース化に積極的な対応を示すことで、市場の変化を受け止め、事業案件獲得のチャンスとする考えだ。
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