正式発表から1カ月経って
グーグルのオープンソーシャルAPI、現状と今後の展開
2007/12/03
グーグルは11月2日、プレス向けにオープンソーシャルの技術やビジネス面での可能性について概略的な解説を行った。
同社がオープンソーシャル構想についての正式発表を行ったのは11月2日(米国現地時間では11月1日)。米グーグルの開発者向けコミュニティ・サイトGoogle Code Open Socialでは、オープンソーシャルに関する豊富な技術情報がテキストやビデオなどで公開されている。
同サイトの解説によると、オープンソーシャルが提供するのは、複数のWebサイトを横断して共通のアプリケーションが稼働するための標準的なAPIセットを提供することである。SNS大手のFacebookがプラットフォーム固有の技術で開発者にAPIを公開するとの発表を受けて、グーグルが対抗策を講じたとされる報道が米国では流れている。Facebookは主にセキュリティ上の理由で、FBMLという独自のマークアップ言語の使用を開発者に要求している。一方、オープンソーシャルAPIは、JavaScriptとHTMLおよびFlashコンポーネントを基盤技術とする。
記者からFacebookとオープンソーシャルとの関係を問われたクリス・シャルク氏は、対Facebookの施策という位置付けを明確に否定、オープンソーシャルAPIの普及により、(Web上で稼働する)アプリケーションがもっと増え、Webサイトが活性化し、ユーザーの活動も活発化するという基本理念の正当性を強調した。
現時点でオープンソーシャルAPIが提供しようとしているのは、「People and Friend」「Activities」「Persistence」の3つのデータAPIだ。開発者はこれらのAPIを利用することで、SNSの基本機能や情報(プロフィール情報や知り合いの情報)にアクセスすることが可能になる。
シャルク氏によると、オープンソーシャルに関して、コミュニティを通じて現在議論されている主なテーマは3つ。「Security, Authentication」「Server to Server APIs」「API vs SPI(Service Provider Interface)」。1つ目のセキュリティ・認証の課題については、OAuthをベースとしたセキュリティ・認証基盤の仕様策定作業を進めている。そのほかのケースも、オープンソースの技術(REST[Representational State Transfer]の利用など)をベースとする点は共通している。
米国およびヨーロッパ地域では、オラクルやセールスフォース・ドットコムなどのソフトウェアベンダやViadeo、Linkedin、XINGといったビジネス向けのSNSサービスを提供する企業とオープンソーシャルの展開について密接な関係を築き始めている。オープンソーシャルAPIはエンタープライズ分野においても、大きな存在意義を有するようだ。ユーザーひとりひとりの情報や活動履歴を呼び出せる標準的なAPIを活用することで、ビジネスアプリケーションの可能性は大きく広がる。例えば、登録した“顧客の行動をトラッキングし、最適なサービスを提案できる”といった機能拡張の可能性も考えられる。
オープンソーシャルAPIの開発は米国を中心に、インドおよびヨーロッパ地域のエンジニアで行われている。日本でも開発者に対し、開発コミュニティへの参加を促す試みを開始し始めた。
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