次世代DVDレコーダー市場は速い立ち上がり
「BDとHD-DVDは併存する」、BCN取締役が予想
2007/12/05
「次世代DVDレコーダーは値が張るのに市場が速く立ち上がったな、という印象だ」(BCN取締役 田中繁廣氏)。全国の大手販売店のPOSデータを集計するBCNがまとめた11月のデータで、ハードディスク・DVDレコーダーの市場で世代交代が順調に進んでいることが明かになった。
非次世代モデルも含めたDVDレコーダー市場は出荷台数ベースで前年比マイナスが続くなど市場全体での伸びは鈍い。2007年の前年比売上実績は、5月の75%を底に90%弱を推移している。一方で今年7月頃から、新旧の世代交代が関係者の予想を上回るピッチで進んでいる。10月の販売実績に占める次世代モデルの割合は台数ベースで5.8%に過ぎなかったが、11月には21.1%へと拡大。次世代DVDレコーダーの平均単価は13万円と非次世代モデルの6万1000円と比べると平均単価が上がったことから、金額ベースでの次世代DVDプレーヤーの売上比率は36.6%と、同市場の3分の1以上を占めるまでに成長している。「通常、新ジャンルの製品では中・上位モデルはあまり売れないものだが、次世代DVDレコーダーについては、エントリーモデルから上位モデルまで売れている」(田中氏)。
市場を牽引したのはソニー。新製品4機種の全モデルでブルーレイディスク対応としたほか「製品価格は10万円台の前半に集中。エントリーから中級機までそろえてシェアを取りにきた」(田中氏)という戦略が奏功。メーカー別市場シェアで後塵を拝していた松下電器を逆転し、11月最終週にはソニー(55.2%)、松下電器(31.0%)、シャープ(11.2%)、東芝(2.7%)とトップに躍り出た。
「若干高い層を狙った」(田中氏)という松下電器は平均単価が15万3000円と、ソニーの12万8000円に比べて高い。シャープはハードディスクを搭載しないモデルを出し、低価格帯での勝負するなど「それぞれの特色のあるユーザーを取り込んだ」(田中氏)のが現在の同市場の特色という。
規格が1本化されることはない
DVDレコーダー市場で先行するブルーレイディスク陣営だが、東芝は12月中旬にHD-DVD対応の新機種「RD-A301」を市場投入して年末商戦に臨むほか、来年の早い時期にもHD-DVD対応機種を出す予定だ。
規格統一で歩み寄れなかった両陣営の勢力関係は、今後変化するのかとの問いに田中氏は「ブルーレイディスク陣営は数が多い。HD-DVDは東芝の1社。その差は歴然としている。大きな構図としては力関係が逆転するということは、もはやないのではないか」としながらも、「次世代型DVDで規格の二極化争いで決着が付いて規格が1本化される、ということはないのではないか」と予想する。すでにPCの世界ではHD-DVD搭載が進んでいるほか、DVDプレーヤーでは北米を中心にHD-DVDが優勢という事情がある。また、MPEG-4などハードディスクへ保存する形式としては、次世代DVDの規格は無関係だからだ。こうしたことから田中氏は「次世代DVD規格が何かは消費者にはあまり関係がなくなって来るのではないか。東芝はHD-DVD戦略を独自に展開し、両社は併存していくのではないか」と語った。
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