IBMがグローバル調査
日本企業は「和の文化」で社員をつなぎ止める
2007/12/07
IBM ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)が12月7日に発表した世界の人事担当者を対象にした調査で、日本企業が社員を辞めさせないためには「会社と個人の価値観が一致していること」が重要と考えていることが分かった。いわば伝統的な「和の文化」を重視する考えとも言え、世界との違いが鮮明になった。
調査はIBCSが世界40カ国、400以上の組織の最高人事責任者、人事部長クラスにインタビュー。対象は中堅企業から大企業まで。日本企業は全体の9%、37社の人事担当者が答えた。
人材に関して企業が直面している課題を聞く質問に対しては、52%の企業が「スキルを持つ従業員の迅速な育成が困難」と回答。「従業員のスキルが企業の優先事項に適合しない」という答えも36%あり、従業員の育成が各社の課題になっている。そのため各社はオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)や社内のクラスルーム型教育、ジョブ・ローテーションを行って人材育成に努めている。
しかし、これらの人材育成では「時間がかかり、スキル開発がビジネスに追いつかない」(IBCS パートナー 執行役員 ヒューマン・キャピタル・マネジメント・サービス担当 三巻由希子氏)。離職率が「以前よりも多い」と答えた企業が47%と約半数に及んでいて、「人材獲得競争が世界的な規模で起きている」のが現状だ。そのため三巻氏は、各社は従業員のスキルトレーニングと同時に、優秀な求職者の採用と、現在の従業員の保持に努める必要があると指摘する。
日本と世界で差が出たのは社員を辞めさせずに、社員を保持するために重要視すること。日本を含むグローバルの結果では、48%が「新しい仕事またはやりがいのある仕事」が従業員を辞めさせないために最も重要と答えている。2番目は「キャリアアップの機会が明確」(43%)だった。
対して、日本は「新しい仕事またはやりがいのある仕事」と同率で「会社と個人の価値観が一致していること」がトップ。2番目は「企業の自己変革および市場での持続的な成功に実績があること」。グローバルで2番目の「キャリアアップの機会が明確」は、日本企業では3番目だった。
三巻氏は日本企業の人事担当者が会社と個人の価値観の調和を重視する背景には「和」を尊ぶ日本の文化があると指摘する。和の考えは日本企業の総合的な競争力を高めてきた。三巻氏は私見としながらも「価値観の調和を大事にするならもっと企業の価値観を外部に示し、社内にも浸透させる取り組みがあってよい」とも話した。
求職者を引き付ける要素として日本企業の人事担当者が考えるのは「企業の自己変革および市場での持続的な成功に実績があること」。対して、グローバルでは「企業の評判の高さ」がトップだった。
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