複数のエージェントソフトに悩まされるのはもう終わり

分散アーキテクチャでITシステムを可視化するBigFix

2007/12/10

 三菱商事は、米ビッグフィックス(BigFix)が開発したエンドポイント管理製品「BigFix Enterprise Solution」の販売を開始した。

 BigFix Enterprise Solutionは、企業内クライアントPCの資産・ライセンス管理に加え、セキュリティ設定やパッチの管理、ソフトウェア配布といった複数の機能をまとめて提供する製品だ。アンチウイルス/スパイウェアやパーソナルファイアウォールといったセキュリティ対策製品の管理も可能だ。

bigfix01.jpg 米ビッグフィックスのCTO、アムリット・ウィリアムズ氏

 エンドポイントの管理や保護といった機能を提供する同種の製品は、ほかにも提供されている。しかし米ビッグフィックスのCTO、アムリット・ウィリアムズ氏は、@ITの取材に対し、「その多くは、1つのデータベースに情報を集約して管理するアーキテクチャに基づいている。1990年代のクライアント/サーバ型システムならばともかく、これだけシステムが複雑化すると、クエリが返ってくるまでに時間が掛かる上、1カ所で全体を把握するのは困難だ。こうしたモデルはもはや通用しない」と述べた。

 これに対しBigFix Enterprise Solutionは、分散型のアーキテクチャを採用している。常駐型のソフトウェア「BigFixエージェント」を導入した端末と管理を行うBigFixサーバとの間に、「BigFixリレー」と呼ばれるリレーポイントを複数配置することで、拡張性を担保しながら、効率的にエンドポイントの管理が行えるという。

bigfix02.jpg BigFixサーバの管理インターフェイス

 ウィリアムズ氏は、分散型アーキテクチャがもたらすもう1つのメリットとして、リアルタイム性を挙げた。エンドポイントに変化があったときにサーバ側に通知し、「Fixlet」と呼ばれるポリシーに基づいて対処を実行する仕組みを取っている。Fixletは、ビッグフィックスから定期的に配布されるほか、自社でのカスタマイズが可能だ。これを活用し、ネットワーク接続環境やファイアウォール設定、USB設定などが変更されたら、即時に対策を実行することができる。

 「たとえネットワークにつながっていない環境でも、配布されたポリシーに基づいて制御が可能だ。今日本に持ってきているこのPCも、ビッグフィックスの管理サーバを介してコントロールされている」(ウィリアムズ氏)

bigfix03.jpg 端末の種類や脆弱性の状況をまとめたレポートの作成が可能

 さらに、セキュリティ構成管理やパッチ管理、電源管理といった各機能は、Fixletのポリシーとして記述される。

 ウィリアムズ氏の前職はガートナーのアナリストだったが、「前の職場では、複数のツールを導入し、それぞれ管理する必要があった」(同氏)。結果として、使い勝手や生産性の面でストレスを感じることもあったという。これに対しBigFix Enterprise Solutionでは、1つの管理コンソール、1つのエージェントで複数の機能を実現できるとした。

 「企業は今、金銭を狙う深刻な脅威にさらされている。そうした脅威は一般に、既知の脆弱性や設定ミスを狙ってくる。したがって、ITのベースラインがどうなっているかを把握しなければならない。さらに、JSOXをはじめとする各種法規制の遵守を考えると、透明性の確保も要求される。その上、コスト削減や生産性の向上といったIT本来の役割も果たさなくてはならない」とウィリアムズ氏は述べる。

 そのためには、「ITをもっと可視化し、どのように管理し、メンテナンスしていくかをコントロールすることが求められる」(同氏)

(@IT 高橋睦美)

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